保険
フリーランスは失業保険をもらえる?不正受給とならないための注意点も解説
失業保険とは 失業保険というと、「失業中の方に対して公的機関から支給されるお金」というイメージを持っている方も多いと思います。その認識は間違えではありません。しかし、正しくもありません。 勘違いされている方も多いですが、そもそも“失業保険”というものは2019年現在の法制度上、存在しません。「失業中の方に対して公的機関から支給されるお金」は、正しくは、“雇用保険”の仕組みの一つである“失業等給付”になります。 「失業保険は雇用保険の仕組みの一部である」というのは、とっても重要なポイントです。“失業等給付(失業保険)”の根拠となる雇用保険ということは、「雇用される立場の労働者のための保険」です。自分で事業を行っている開業者、独立したフリーランスは、雇用される労働者ではないので、(原則的には)雇用保険で守られる対象者ではないということになります。つまり、“失業等給付(失業保険)”を受け取れる立場ではないのです。 では、「まだ開業届けを出していないけど、独立してフリーランスになりたいんだ」という方はどうなるのかも、考えてみましょう。 結論から言いますと、非常に難しいところですが、“失業等給付(失業保険)の対象者になれる可能性はある”と言えます。ただし、条件があります。 その条件とは、「求職活動も行うこと」です。失業等給付(失業保険)を受け取るための条件として“就職の意思がある人”という決まりがあります。失業中だからといって、仕事も探さず、ぶらぶらして遊んでいるだけの人にはお金を渡せないよ、という訳です。 “働かざる者食うべからず”を体現した、当たり前と言えば、当たり前の規則ですが、あくまで「雇用者として働く人を守るための制度」のため、 “独立の準備だけをしている人(=雇用者になる気がない人)”に対しては、支給ができないという欠点もあります。 テクフリでフリーランス案件を探してみる 不正受給にならないための注意点 不正受給と認定された場合、不正受給額の全額返済、さらに不正受給額の二倍の金額を納付しなければなりません。ちなみに、合計で不正受給額の三倍を支払う必要があることから、俗に“三倍返し”と言われています。さらに悪質だと認められた場合は、詐欺として逮捕されることもあります。 経済的なダメージはもちろん、社会的なダメージも大きいので、不正受給しないことが重要です。そのための対策としては、基本的には以下の3つです。 ハローワークの担当者としっかりコミュニケーションを取っておくこと。「大丈夫かな?」と疑問に思ったことは相談しましょう。 申請書をはじめとするドキュメントには正確な情報を記載すること。日雇いアルバイトも就労ですし、内職(ソーシャルワーキング含む)で得たお金は収入です。 開業届を提出したなど、自身のステータスに変更があった場合、すぐに報告すること。「名義貸し」でも会社の役員は役員です。雇用保険の対象外とみなされるかもしれません。 「アルバイトの収入があると失業保険を打ち切られる」と思って、黙っていた結果、不正受給とみなされてペナルティーを受ける方も多いです。実際は、アルバイトや内職で収入があったり、会社役員として登録されているからといって、ただちに支給を打ち切られることはありません。支給額に変動があるだけです。 問題視されるのは「そのような収入があるのに黙っていて、収入がない人と同額を受け取っていた嘘つき」「いわゆる詐欺ではないか?」という点です。 ちなみに、ちょっとしたアルバイトや内職だったらバレないだろう、と思っている方も多いですが、高確率でバレます。アルバイトであっても、雇用保険に加入するのが一般的ですが、“雇用保険に誰がいつ加入したか”という情報は他ならぬハローワークに提出されるので、すぐにバレます。 クラウドソーシングで見つけた内職も、報酬の授受に伴う税金の支払いから、バレてしまう確率が高いです。深く意識せず、「最近ちょっと仕事が忙しくて」などと担当者にポロっと言ってしまう、うっかりさんも多いようです。 そして、もっとも失業等給付(失業保険)の不正受給がバレる理由だと言われているのが密告です。 失業等給付(失業保険)を受け取っているとは知らなかった、他のアルバイトや雇用主が、ハローワークの聞き取りに対して「ああ、この人、うちで働いていますよ」と言ってしまうパターンもあります。 しかし、それ以上に“失業保険の不正受給は許さない”という正義感に駆られた周囲の人物(元の職場の同僚や、親族も含めて)から、ハローワークへと告発の連絡が入るというケースが非常に多いということです。 不正受給認定されると良いことは何一つないので、絶対に不正受給と認定されないように、報告すべきことは正直に報告するようにしましょう。 失業保険をもらえる可能性はゼロではない これまで何度もご紹介してきた通り、俗に失業保険と言われる“雇用保険の失業等給付”は雇用される意思のある、労働者のためのものです。雇用者ではない開業届けを出して人、独立してフリーランスになった人は、支給できないのが原則です。 ただし、規則ができれば、規則の例外もできるのが世の常で、雇用者ではない働き方を選択した人にも支給できる法的根拠が整備されました。それが『再就職手当』です。 詳細な説明はハローワークが発行している公式案内を読んでいただければと思いますが、『再就職手当』の概念をかいつまんでご説明いたします。 結局、 “雇用保険の失業等給付”の目的は失業者を減らすことです。その目標を達成するための、失業期間が短い人には、特典として手当を出します、という制度が『再就職手当』です。そして、通常の“失業等給付(失業保険)”の場合は、会社で働く雇用者を目指す人のみが対象でしたが、『再就職手当』は「開業・独立でも労働は労働だから支給します」ということになりました。 なお、政府としても副業の促進を行っているなど、働き方の多様化が叫ばれている状況を受け開業届けを出して方や独立してフリーランス になった人向けに“失業等給付”のようなものを創設したり、制度を変更できないか、検討自体は進められています。 ただし、フリーランスのための団体(組合)を作って、その中で仕事を獲得できず、収入のない加入者を援助する共済保険のような仕組みの設立などのアイデアは提言されたものの、現在、具体化の動きは見られないというのが現状です。 まとめ:フリーランスに失業保険は“原則”支払われない! 繰り返しになりますが、いわゆる失業保険と呼ばれる“雇用保険の失業等給付”は開業届けを出した人やフリーランスとして独立したい方は、失業者とみなさず、対象外としています。そのため、原則的には「フリーランスは失業保険をもらえない」ということになります。 しかし、昨今、働き方の多様化が進んでいる中で、『再就職手当』という形でフリーランスを目指す方を救済する道も(まだまだ不完全だとは思いますが、)用意されました。自分は支給対象となるのかモヤモヤしている方は、一度、ハローワークに赴いて、相談してみましょう。 テクフリでフリーランス案件を探してみる