自ら法人を持ちながら、フリーランスエンジニアとしても活躍されているS.Dさん。「フリーランスで働こうと考えたきっかけ、案件の選定ポイント、今後のキャリアプラン」などについて伺いました。
ーフリーランスになる前はどのようなお仕事をされていましたか?
元々が金融機関でコンサルをするような立場で仕事をしており、そのあと自分で法人を立ち上げてサービスを展開したのですがうまくいかず、外部でスポットとして入っていました。
客観的に市況を見ることができていたので、お声がけいただくことが多く、そういった自分の強みを活かしていたら、徐々にフリーランスの方に移行していた、という感じです。
ーフリーランスとして働こうと思ったきっかけは何でしょうか?
法人を立ち上げた時とフリーランスの時で変わってくるんですけど、技術があれば生きていけるというのがITのいいところだと思ったことがきっかけです。
働き始めた時は金融とかファイナンス関連の仕事が多かったのですが、年を重ねないとやりたいことが中々出来ないという面がありました。
比べてIT領域の方が親和性というか、若い人の話を聞いてくれる土壌があったのでどんどんITの方に移行していきました。
その中で新しい技術をやっていきたいという際に、内部にいると自分が技術を持っていても、上司の一声で意見が通らないことがあるので、外部であれば新しい仕事や技術に触れられると思い、外部寄りで活動していくことが多くなっていきましたね。
また、元より人工知能とか最先端技術が好きなので、そこでなんとなく親和性があり、興味を惹かれていました。
ー子どもの時から最先端のものに興味があったのでしょうか?
どちらかというと、海外に行くことが多くて後天的に好きになりました。
ヨーロッパとの仲介であったり、翻訳など海外との中間に位置する役割になることが多いのですが、そういった人材に求められるものは「英語ができる」か、「専門技術が長けている」という部分だと思っていて、その結果として、最先端という方向にたどり着きました。
海外だと事例も最先端事例が出てきて、とにかく触れる機会が多いんです。海外が好きだと最先端技術を突き詰めていくことになるので、結果として好きになりました。
ーフリーランスになるにあたって不安な点はありましたか?
一人でやっていくということは、契約期間は決まっていても、(契約期間の)外が決まっていないということなので、不安は常に持ってますね。
また、従業員と比べて、自分の力しか信じられないのが大変なところかなと思います。
逆に、外部だからこそ、中の人に比べて知識量でも技量でも、なにかしらのアドバンテージがないと置いていかれるため、常に知識や技術を更新していかないといけないというのは不安ではありますね。
ーフリーランスになる前と後ではどのような変化がありましたか?
エンジニアベースで話すと、自由度が増しました。
社内にいると、年功序列や縦割り、セクショナリズムなどの話があると思うのですが、フリーでいるとタスク・ロールで話がくるので、その部分を気にせずに、集中して専門性をもてるやりやすさがあると感じています。
また、結果にコミットする必要があるので、より専門性に対してストイックになりました。
ー今回稼働している案件の選定ポイントはなんだったのでしょうか?
まずはプロでやってるので金額感というのは大事にしています。
金額が自分のタスク・ロールに見合うかという、コスパの良さみたいな話は絶対出てくるんですけど、ここまでが大前提です。
あとは自分の観点になってくるんですけど、一つは働きやすい環境が感じられるかという点です。
結局担当者によると思うのですが、同じような業種でも会社のメンバーによって雰囲気が違うので、最初はわからないですが、入った後に継続できそうかというところは結構大事にしています。
やっぱりコミュニケーションの取りやすさや、同じ観点を持ち合わせているかは大事なポイントです。
また、面談が進んでいくと、責任者や決裁者の方もいらっしゃると思うのですが、上司の方と馬が合うかどうかというのは気にしています。
他にも、会社が抱えている課題や今直面している問題が、自分のスキルセットに合うかどうかも見ています。
その際、面談での質問以外にも、会社情報を見てどのような課題があるか調べて判断していますね。
ーどのようなエンジニアさんがいますか?
エンジニアでいえば、コテコテのエンジニアが多いです。
コテコテのエンジニアというのはオタク気質の人なんですが、技術ベースで深掘りするような人だと、誰がやれと言わずとも勝手に走り出していますね。笑
コミュニケーションは活発に行われていていいと思うんですが、一方で、基本的にフリーランスは一人でできてしまうので、管理の面でサポート体制を築けるかどうかというのは大事になってきます。
自分がわかればいいやとなってしまうことがあるのが課題です。
技量がある人は自分の力ベースで考えるので、全体でやるというのが難しい気がします。
ー我々のようなエージェント会社に対してどのような印象を持っていますか?
エージェントは結構まちまちだと思っています。
サポート体制がバリューなのかなと考えているので、そこが信用できるかできないかを重要視しています。
コミュニケーションの取りやすさや、イケイケなエージェントさんも多いのでコンプラ系が大丈夫そうかどうかを見ていますね。笑
ー当社ITフリーランスコンソーシアムという、ITフリーランスに安心安全にご就業いただくためのプログラムを提供していますが、今後どのようなサービスがあると嬉しいですか?
福利厚生は難しいと思っています。というのも、福利厚生を重視されているのは、社員の方が多い気がしていて、外部で働くスペシャリスト系の人は、その分を自分達で稼ごうとするので福利厚生をそこまで気にしていないような気がします。
一方で、お子さんとかがいる方や結婚等のフェーズが変わる際のサポートを拡充してもいいのではないかなと思います。
他には、貰ってる額が高いと税金面が気になってくるので、そこのサポートがあるといいのではないでしょうか。
ー今後どのようなキャリアプランを考えているのでしょうか?
二つ方向性があるかなと考えていて、エンジニアである程度評価をいただいているので、それを拡充していくかというのが一つです。
もう一つは、データを扱うのは自分で事業主になるのがいいと思っているので、どっかの会社さんを買収して小さな店で回すというのを検討しています。
どちらでもいけると思っているので、とりあえず走りつつ、お金を貯めて、チャンスが来たら掴もうかなという感じでやっています。
ー注目している技術は何でしょうか?それはなぜでしょうか?
AIはロボットの方向に行くんですけど、ロボットは今エッジコンピューティングというものが進んできているので、業務の実態を改善するところに注目しています。
人によってはブロックチェーンを含めたWeb3に進んでいるかなと思うんですけど、私はそっち方面というよりはロボットなのかなといった感じです。
エッジコンピューティング、またその先では量子コンピューティングがあって、これはまだ実用化まで行っていないので、実用化したら変わってくると思います。
ー最後にこれからフリーランスになる方にアドバイスをお願いします
普通の従業員として働く、という路線から外れていくので、そこで勇気が必要なのが第一関門かなと思っています。
逆に、勇気を出すことができれば、あとは失敗してもその分経験もついてきて、やりがいがあるので、ぜひぜひお待ちしています。笑
またエンジニアになる方は、金額が最初従業員でやっている時の倍くらいに跳ね上がったりするので、そこで臆せずに挑戦していくことが大事だと思います。