TypeScriptという言語は知っているものの、JavaScriptと何が違うのか分からず、学ぶべきなのか迷っている方も多いのではないでしょうか。結論からいえば、TypeScriptは学ぶことをおすすめできる言語ですが、学ぶ前に言語としての性質をしっかり理解しておくことが大切です。本記事ではTypeScriptとJavaScriptの違いについて解説します。
TypeScriptはマイクロソフト社によって開発されたプログラミング言語です。JavaScriptにいくつかの機能を追加して作られました。そのため、JavaScriptでできることは基本的にTypeScriptにおいても実行可能です。また、基本的な用途もJavaScriptと変わりません。TypeScriptはおもにWebアプリにおけるフロントエンド開発に使われています。フロントエンドとは、ユーザーが直接触れる箇所のことです。たとえば、フロントエンド開発では、ユーザーがWebページのボタンをクリックした際やフォームに文字を入力した際の処理を実装します。
さらに、TypeScriptはJavaScript同様にNode.jsを導入することでサーバーサイド開発も行えます。
サーバーサイトとは、ユーザーが直接触れることのない裏側の部分のことです。たとえば、データベースからデータを取得したり、更新したりする処理を指します。サーバーサイドとフロントエンド開発で使う言語をTypeScriptに統一することで、開発コストを下げることが可能です。
TypeScriptには大きな特徴がいくつかあります。代表的な特徴は次の3つです。
それぞれの特徴について詳しく解説していきます。
TypeScriptはJavaScriptとの互換性が高いというのが特徴です。JavaScriptの開発環境・テスト環境はTypeScriptでもそのまま使えます。また、AngularJSやVue.jsなどのJavaScriptライブラリ・フレームワークもTypeScriptで同じように使えます。そのため、JavaScriptからTypeScriptに移行するのに、さほど手間はかからないでしょう。
TypeScriptは大規模開発に向いているのも大きな特徴の1つです。元々TypeScriptはマイクロソフト社が、大規模開発を行ううえでのJavaScriptの欠点を補うために開発しました。大規模開発では処理内容が増えるため、ソースコードの行数が多くなり、管理が大変です。
そのため、TypeScriptにはソースの行数が多くなっても管理しやすくするための機能が備わっています。また、大規模開発では多くのエンジニアを必要とするため、エンジニア同士の連携を行わなくてはいけません。TypeScriptにはそのための機能も備わっています。
昨今のWebアプリでは、フロントエンド側の負担が増える傾向があります。例えば、最近ではSPAアプリという、1つのページでコンテンツを切り替えるページが流行っていますが、SPAアプリではフロントエンド側で多くの処理を行わなくてはいけません。このような傾向もあるため、TypeScriptの必要性がより増しているといえるでしょう。
TypeScriptはソースコードの可読性が高いのもメリットです。なぜなら、JavaScriptにはソースコードの可読性を高めるための機能が多く備わっているからです。ソースコードの可読性が高いことは、Webアプリ開発にとって大きな意味があります。Webアプリ開発は、ユーザーの要望や流行に従ってリリース後も繰り返し改良を行わなくてはいけません。コードが読みやすいと、改良をスピーディーに行えるというメリットがあります。
TypeScriptは、JavaScriptの拡張として、静的型付けやクラスなどの機能を追加したプログラミング言語です。JavaScriptとの互換性があり、JavaScriptのフレームワークやライブラリを使用できます。TypeScriptでできることは、大きく分けて以下の2つです。
それぞれについて詳しく紹介します。
TypeScriptは、静的型付け言語です。変数や関数の引数・戻り値の型を明示的に指定することで、コンパイル時に型エラーを検出できます。これにより、バグの早期発見や、コードの可読性向上につながります。
TypeScriptは、クラスをサポートするオブジェクト指向プログラミング言語です。クラスを使用して、オブジェクトの状態と動作を定義できます。オブジェクト指向プログラミングとは、オブジェクトと呼ばれる単位でプログラムを記述する手法です。オブジェクトは、状態(データ)と動作(関数)をまとめたもので、オブジェクトを組み合わせることで、複雑なプログラムをより簡単に記述し、再利用性を高める効果があります。
続いて、TypeScriptとJavaScriptの違いについて解説します。TypeScriptはJavaScriptをベースに作られた言語ですが、細かい仕様は異なるので注意が必要です。TypeScriptとJavaScriptの代表的な違いは次の3つです。
一つひとつの違いについて詳しく解説していきます。
TypeScriptは静的型付け言語に分類され、JavaScriptは動的型付け言語に分類されます。静的型付け言語は、プログラマーが変数や関数の引数などの型を明示しなくてはならない言語のことです。明示しなかった場合、エラーが出て実行されなくなります。一方で動的型付け言語は、型を明示しなくても、コンパイラなどが型を自分で推測して実行することが可能です。そのため、プログラマーは型の記述を省けます。
一見すると、型の記述を省ける動的型付け言語の方が、利便性が高いように感じます。しかし、あえて型を明示しなくてはならないようにした方が、ソースコードを読む側にとって分かりやすくなるメリットがあるのです。型があらかじめ明示されていれば、その関数に何のデータを渡して良いのか分かりやすくなります。静的型付け言語を利用することは、バグを減らすことにもつながるということを覚えておきましょう。
特に大規模開発の場合、他人が見ても読みやすいソースコードにすることは大切です。そのため、あえて型を明示する必要がある静的型付け言語の方が大規模開発では好まれます。
TypeScriptはクラスを作成する際にインターフェースという機能が使えます。インターフェースとは、メソッドの引数・戻り値を定義したもののことです。インターフェースを使うことで、クラス作成時のルールを決められるというメリットがあります。インタフェースにクラスで必ず使うべきメソッドを定義すれば、そのメソッドを使っていないクラスが実装された場合にエラーが出て、実行できなくすることが可能です。このようにインターフェースによってルール決めを行うことで、実装漏れやバグの発生を防ぎやすくなります。
TypeScriptはJavaScriptに比べると学習難易度は高めです。TypeScriptはJavaScriptよりも機能が多いため覚えるのが大変というのもありますが、それ以上に、歴史が浅い言語のため参考書や学習サイトの種類が少ないのが大きいです。また、JavaScriptはプログラミングスクールで学べても、TypeScriptは学べない場合が多くあります。
また、TypeScriptは利用者も現状多くはないため、分からない箇所を質問しにくいのも難点です。質問サイトでTypeScriptに関する質問を行っても、答えが返ってきにくい可能性があります。
TypeScriptは、JavaScriptの拡張として、静的型付けやクラスなどの機能を追加したプログラミング言語です。JavaScriptとの互換性があり、JavaScriptのフレームワークやライブラリを使用できます。TypeScriptは、JavaScriptのフレームワークと組み合わせることで、より安全で堅牢なアプリケーションを開発できます。TypeScriptとJavaScriptのフレームワークは、相性が良い組み合わせであり、多くの開発者から支持されてる点が特徴です。
TypeScriptとJavaScriptはどちらもWeb開発で広く使われているプログラミング言語ですが、それぞれ異なる特徴があります。TypeScriptは、JavaScriptを拡張して開発された静的型付け言語です。変数や関数の型を明示的に定義することで、コンパイル時にエラーを検知できます。そのため、バグの発生を防ぎ、より安全なコードを作成できます。また、オブジェクト指向プログラミングの機能も充実しており、大規模なWebアプリケーションの開発にも適している言語だといえるでしょう。
JavaScriptは、動的型付け言語です。変数や関数の型を明示的に定義する必要がないため、コードを記述するのが簡単です。また、Webブラウザ上で動作するため、Webアプリケーションの開発に適しているという特徴があります。ただし、型を明示的に定義できないため、バグの発生率が高くなるというデメリットがあると覚えておきましょう。
TypeScriptとJavaScript、どちらの言語がいいのかは、開発するアプリケーションの規模や目的によって異なります。小規模なWebアプリケーションを開発する場合は、JavaScriptが適しています。コードを記述するのが簡単で、Webブラウザ上で動作するため、開発コストを抑えられるというメリットが得られるでしょう。
大規模なWebアプリケーションを開発する場合は、TypeScriptが適しています。静的型付け言語により、バグの発生を防ぎ、より安全なコードを作成できる点や、オブジェクト指向プログラミングの機能によるコードの再利用性といった特徴を活かせます。
結論として、TypeScriptはJavaScriptの弱点を補うように拡張された言語であり、大規模なWebアプリケーションの開発に適しており、JavaScriptは、Webブラウザ上で動作する言語であり、小規模なWebアプリケーションの開発に適していると覚えておきましょう。
TypeScriptは将来性の高い言語です。TypeScriptはGoogleでも社内の標準開発言語として採用されており、言語としての信頼性も高いと言えるでしょう。今後JavaScriptからTypeScriptに乗り換える企業も増えていくことが予想されます。TypeScriptの方が大規模開発に向いているため、乗り換えることで開発が効率化される可能性があるためです。
また、Webアプリ開発の将来性自体がそもそも高いというのも、TypeScriptの将来性が高い理由と言えるでしょう。スマホの普及に伴い、Webアプリを日常的に使うユーザーは増えています。今後は、ユーザーにとって更に利便性の高いWebアプリが求められていくでしょう。Webアプリの利便性を高めるにはフロントエンド側で多くの処理を行う必要があり、TypeScriptを導入する必要性も高くなる可能性があります。特にエンジニアとして現役で活躍している方は、TypeScriptをこれから学ぶと市場価値をさらに高められるでしょう。
プログラミング未経験者の場合は、まずはJavaScriptから学習することをおすすめします。上記でも解説した通り、TypeScriptはまだ参考書や学習サイトが少なく、学習に苦労する可能性があるためです。JavaScriptなら未経験向けの参考書も豊富であり、学習ハードルも低いと言えます。
他言語の経験がある方は、TypeScriptから学習するのもおすすめです。TypeScriptの参考書を見ながら、実際にWebアプリを開発してみると良いでしょう。実際にWebアプリを開発することで、TypeScriptとJavaScriptの違いも肌で実感できるようになります。
フリーランススタートの求人情報を元に計算した、TypeScriptエンジニアの平均年収は855万円です。
最低年収でも360万円、最高年収になると1,680万円になります。
(参考)「TypeScriptエンジニアの年収とは?エンジニアの年収比較や年収アップの方法を解説」
これは、ITエンジニアの平均年収である約470万円と比べると、かなり高めといえるでしょう。
(参考)求人ボックス「ITエンジニアの仕事の年収・時給・給料」
TypeScriptは、静的型付けによるバグの防止や、コードの可読性と保守性の向上などのメリットがあるため、Webアプリケーションやモバイルアプリなどの開発において、人気が高まっています。今後も、TypeScriptの需要は高まっていくと予想されるため、TypeScriptエンジニアは将来性の高い職種といえるでしょう。
本記事ではTypeScriptとJavaScriptの違いについて解説しました。TypeScriptの特徴やメリット・デメリットなどがお分かりいただけたかと思います。TypeScriptはインターフェースが使える・静的型付け言語である、といった特徴を持っており、JavaScriptよりも大規模開発に向いているのがポイントです。今後フロントエンド側で担う処理が増えていけば、TypeScriptの必要性が増していく可能性が高いです。
ただし、現状ではTypeScriptの求人はそれほど多くはありません。また、参考書や学習サイトも多くないため、プログラミング未経験者がいきなりTypeScriptに挑戦すると苦戦する可能性があります。初心者エンジニアは、まずは、JavaScriptから取り組むことをおすすめします。JavaScriptを通じて学んだことを、TypeScriptでも活かすことが可能です。この記事で紹介した内容を参考に、TypeScriptエンジニアを目指してみましょう。
3つの質問に答えるだけで、フリーランスエンジニアとしての単価相場を算出します。 スキルやご経験にマッチする案件もあわせてご紹介いたしますので、気軽にご活用ください! ※単価相場の算出に個人情報の回答は必要ございません。