Kotlinは、「Javaをもっと簡潔・安全に」という想いから開発されたプログラミング言語のひとつです。
Javaを改良して作られた言語ということもあり、Javaとの親和性が非常に高く、Kotlinを使用している大手企業も少なくありません。
Javaは歴史が古く、多くの企業で採用されている言語ですが、流行りの言語と組み合わせづらいという欠点があります。
そのため、より簡潔なKotlinを新たに学習しようと考えるエンジニアの方がいると思いますが、
「Kotlinのフレームワークって何があるの?」
「いくつかあってどのフレームワークを使えばいいかわからない…」
といった疑問をお持ちかもしれません。
そこで、この記事ではKotlinのフレームワークについて解説していきます。最後まで読んでいただければ、どのフレームワークを学習すれば良いかわかります!
Kotlinについて詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
Kotlinフレームワークとは、Kotlinを利用して開発をする際に必要な基本機能をまとめたソフトウェアのことです。
フレームワークには、ある程度決まったルールが存在しています。そのため、誰が書いても理解がしやすいという特徴があります。
また、自分で1から書くと数百行必要なコードが、フレームワークを使うと数十行で解決するのも魅力です。
フレームワークと似た言葉としてライブラリがありますが、両者の違いは「制御の反転があるかどうか」によります。
ライブラリの場合、プログラムを動かす主導権はプログラマーが書いたコードにあります。一方で、フレームワークの場合、プログラマーが書いたコードはフレームワークによって制御されるのです。
つまり、ライブラリは主導権がエンジニア側にあり、フレームワークは主導権がフレームワーク側にあると言えます。
Kotlinを使う上で、フレームワークを利用することにはいろいろなメリットがあります。ここでは、以下のメリットについて詳しく解説します。
MVP開発やリーンスタートアップという言葉が注目されているように、IT/Web業界では特に、サービスを高速で市場に投下することが重要です。Kotlinのフレームワークを利用するのとしないのでは、開発スピードにかなりの差が生じます。
例えばKotlinのフレームワークには、Androidアプリや、サーバーの開発機能などが備わっているのですが、それらをフレームワークなしでエラー無く完成させるには、かなりの時間を要してしまうのです。
プログラミングに限らず全ての仕事にいえますが、コードの書き方にはその人の個性やクセがでます。
経験、スキル、年齢、性格、キャリアなど様々な要因によって差が生じるのですが、人が書いたコードを修正するのは、かなり大変な作業です。
フレームワークを利用すれば、コードの統一性を保持させることができます。
統一性を保持することにより、多人数開発にも対応しやすくなります。
Kotlinのフレームワークは基本的に大人数のエンジニアに利用されています。そのため、バグはすでに解決されていることが多いです。
それらのバグが少ないフレームワークを利用して開発を進めると、開発をしたプログラムもバグが少なくなる可能性が高まるといえます。
Kotlinの中規模、大規模以上案件では、フレームワークが利用されていることがほとんどです。
特にSpring Bootは人気のフレームワークとなっているため、Kotlinエンジニアとして仕事を獲得したい場合、習得しておくといいかもしれません。
Kotlinフレームワークを導入することで、テスト工数も削減することが可能です。
なぜなら、フレームワークを使って実装した箇所は、単体テストを行う必要がなくなるためです。
システム開発ではテストに多くの時間がかかってしまうこともあります。それでいてシステムの品質を高めるための重要な工程でもあるため、簡略化することは難しいのです。
特にスマホアプリはユーザーの要望や流行に合わせて何度も改良する必要があり、その度にテストを行わなくてはいけません。
スマホアプリ開発を行うなら、Kotlinフレームワークを用いて、極力テスト工数を減らすことが大切なのです。
一方で、Kotlinフレームワークを使用することのデメリットは次の4点が挙げられます。
フレームワークを使いこなすにはKotlinの理解がある前提で、最低でも数週間は学習をする必要があります。
概要を抑えられても、細かい要望を実現しようとすると調査に更に時間がかかることはよくあります。使用者が多くないフレームワークになると、情報量が少なく、調査が難しいこともあるでしょう。
また、ドキュメントは基本的に英語で書かれていることが多いです。
フレームワークはいわゆる「よくある機能」を開発する際には有用です。
しかし、前例が少ない機能を開発したい場合、対応できないことが多々あります。
フレームワークは決められたルールに則ってサービスを開発していかなければならないため、イレギュラーが多発するようなサービスではフレームワークを利用しないほうが作りやすいことがあるのです。
Kotlinフレームワークに依存してしまう、というのもデメリットとして挙げられます。
もし、フレームワークの仕様が変更にあった場合、自社のシステムもそれに合わせて変更しないといけません。
また、フレームワークに深刻なバグがあった場合、自社のシステムにも不具合が生じる可能性があります。
さらに、フレームワークがサポート終了した場合、そのフレームワークを使い続けることはできませんので、他のフレームワークに移行する手間が発生してしまいます。
このように、フレームワークに依存するデメリットがあることは事実です。
とはいえ、フレームワークによる開発工数削減のメリットも大きいので、どちらを優先するかはプロジェクト次第と言えるでしょう。
どのKotlinフレームワークを導入するか、判断を誤ると開発効率がむしろ下がってしまう恐れがあります。
たとえば、小規模な開発なら制約が緩くて自由度の高いフレームワークの方が使いやすいでしょう。
しかし、大規模な開発になると、制約が緩いフレームワークはコードの書き方をチームで統一しにくく、開発効率が上がらない可能性があるのです。
Kotlinフレームワークにはそれぞれ特徴があります。
それぞれの特徴を踏まえて選定しないと、システムと相性が悪いフレームワークを導入してしまうかもしれません。
ここからは、人気のフレームワークや、目的によって有用なKotlinフレームワークについて解説していきます。
Spring Bootは、JavaのフレームワークであるSpringを改良して開発されたフレームワークです。
Javaのフレームワークとして開発されたものですが、KotlinがJavaを改良して作られた言語であるため、Kotlinでも使用できるようになっています。
Springでは、多機能ゆえの複雑さが課題でしたが、Spring Bootではシンプルな設計が実現されており、機能の使い分けを行いやすくなっているのが特徴です。
また、XMLファイルの設定を自動で行うことができる機能なども実装されています。
Spring BootはJavaのフレームワークであるため、こちらの記事も是非参考にしてみてください!
Javaフレームワークとは?おすすめの10選と選び方【2022年最新版】
Ktorは、Kotlinの開発元が公開しているフレームワークです。
Kotlin自体は2011年に発表された言語ですが、Ktorはリリースが2018年と新しく、現在もなおアップデートされています。
Ktorは非同期クライアントとサーバーアプリケーションを作成するためのフレームワークで、拡張性が高いのが特徴です。
また、最低限の機能のみで構成され、処理が軽量なのも大きなメリットです。
スマホアプリの動作の早さを重視したい場合にもおすすめと言えるでしょう。
Javalinは、その名の通り、JavaとKotlinで使用可能なフレームワークです。
Ktorと同様にシンプルで、軽量である点が特徴です。
設定次第では、非同期で動かすことができるのも大きなポイントとなっています。
同期・非同期の両方で動かすことができると、スマホアプリの動作効率を高めやすくなり、ユーザーによって使いやすいアプリに改良することが可能です。
基礎的な知識さえあれば、すぐに使えるほどシンプルなので、使いやすいフレームワークと言えるでしょう。
>Javalin公式サイト
Joobyは、Java/Kotlin/JavaScriptで使用可能な、マイクロフレームワークです。
機能を最小限にするために、Java8以降を標準としているので、環境が古いバージョンの場合注意が必要です。(Kotlinの場合は別です)
マイクロフレームワークと謳っているだけあって、最小限の機能のみで構成されており、軽量さが魅力となっています。
また、拡張性が高いのも特徴です。必要に応じて機能を追加できるため、柔軟性も高いフレームワークと言えるでしょう。
拡張性が高い分、学習コストは高いですが、使い慣れればその便利さを感じることができるはずです。
wasabiはKotlin用に作られたフレームワークです。
wasabiの特徴は、MVCモデルを採用していないことでしょう。
MVCモデルを採用していると、役割ごとにプログラムを分けることができ、ソースの管理が容易になります。
一方で、コードの制約が増えてしまうデメリットがあり、小規模開発ではMVCモデルを採用していないフレームワークの方が、相性が良い可能性があります。
現状、他のフレームワークに比べるとwasabiはそれほど知名度は高くありません。
しかし基本的な性能も高く、アップデートが頻繁に行われているため、今後も期待できるフレームワークと言えるでしょう。
ここまでフレームワークの解説をしてきました。
では実際の単価や記事数はどのようになっているのでしょうか?
テクフリに掲載されている案件を参考に以下にまとめました。
弊社調べによると、Kotlinの平均単価は84.2万円、最高単価は165万円となっております。
(テクフリ調べ 2023/08/21付)
Javaの単価相場と比較したいという方は、こちらの記事をご参考にどうぞ!
>Javaのおすすめフレームワーク10選を紹介!【2023年最新版】
Kotlinフレームワークの記事数を下記のようにまとめました。
2023年8月時点では、学びやすさの観点から見ると、選ぶべきKotlinフレームワークはSpring Bootであるといえます。
フレームワーク | Qiitaの記事数 | stackoverflowでの質問数 |
Spring Boot | 4572 | 187 |
Ktor | 214 | 0 |
Javalin | 11 | 0 |
Jooby | 18 | 0 |
wasabi(Kotlin) | 4 | 0 |
最後に、Kotlinを使用する案件の例についてまとめました。
各Kotlinの概要や求められるスキルなどについて紹介します。
Kotlin案件の例を知ることによって、Kotlinエンジニアとして働くイメージも湧いてくるでしょう。
Kotlinエンジニアを目指す方は参考にしてください。
案件名 | Kotlin/Java/一部リモート/アルバイト検索アプリの継続開発対応 |
月額単価 | 〜720,000円/月 |
最寄駅 | 竹芝 |
業務内容 | 現行アルバイト募集アプリの機能追加・改修対応をご担当いただきます。 今回はSEポジションをお願いいたします。 PL経験のある方であれば単価の上振れも可能です。 【作業工程】要件定義・設計・開発・単体テスト・結合テスト 【言語】 Kotlin(一部Android Java) 【使用DB】SQLite、Realm 【バージョン管理】Git(GitHub) |
基本スキル | ・SE/PGとしての経験が2年以上 ・Kotlinを使用したアプリ開発の経験が2年以上 (Kotlinが2年未満でも他にモバイル開発経験が複数年あれば可) ・要件内容をもとに設計書を作成できること ・GitHubを利用し、複数名での開発ができること |
案件名 | Kotlin/GCP/一部リモート/新規広告システムのバッチ系開発業務 |
月額単価 | 〜880,000円/月 |
最寄駅 | 九段下 |
業務内容 | 新規開発中の広告システムのバッチプログラムまたは配信プログラムの開発以降のフェーズをご担当頂きます。 ・設計書を元にGoogleCloudのサービスを利用した開発 ・開発/単体/結合テストを担当 |
基本スキル | ・Kotlinで基本設計から1人称で担当できること ※Javaの開発経験が豊富でKotlinを少しでも実務で触れているとマッチします ・Webアプリケーションのバックエンド開発のご経験 ※Webのバックエンド開発のため、スマホアプリだけのご経験の方ですとマッチしません ・非機能要件(大量のデータの処理)を考慮して設計と開発を進めた経験 ・クラウドサービス上での開発、設計のご経験 |
本記事ではKotlinフレームワークについて解説しました。
Kotlinフレームワークのメリット・デメリットやKotlinフレームワークの種類などがお分かりいただけたかと思います。
Kotlinは文法が易しく、開発工数を減らすことに貢献してくれる優秀な言語です。
Kotlinフレームワークを導入することで、自分達で1から機能を作らなくてすむため、さらに工数を短縮することができます。
これからKotlinフレームワークを学ぶ方には、Spring Bootが特におすすめです。
Spring Bootは機能がシンプルな点や、コード量を少なくすることができる点が初心者向きと言えます。
フレームワークをうまく活用することによって、Kotlinでの開発をより生産的なものにしていきましょう。
3つの質問に答えるだけで、フリーランスエンジニアとしての単価相場を算出します。 スキルやご経験にマッチする案件もあわせてご紹介いたしますので、気軽にご活用ください! ※単価相場の算出に個人情報の回答は必要ございません。