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SES契約とは?請負契約や派遣契約との違いを解説

2024.08.19

torritomm

働き方

目次

    人手不足が慢性化しているIT業界では、人材確保の手段として「SES」という契約が使われることがあります。派遣契約や請負契約とよく似た契約内容ですが、厳密には大きな違いが存在しています。

    では、SES契約と契約・請負との違いはどんなところにあるのでしょうか? SES契約を結ぶにあたっての注意点や、年収アップのためにどんなことができるのかについて解説していきます。

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    SES契約とは

    SESとは、System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)から頭文字を取った略称です。クライアントとなるIT企業に向けて、自社が保有するエンジニア人材を派遣し、システム開発やインフラ構築に従事してもらうビジネスモデルを指します。

    エンジニア一人ひとりが雇用契約を結ぶのはSES企業(ベンダー)ですが、実際に作業に従事するのはクライアント企業のオフィスとなります。クライアントとベンダーが契約を結び、「この業務に関して、うちのエンジニアの労働力を提供しますよ」という約束を取り交わします。

    SES事業を手がけるベンダーは、常に大量のエンジニア人材を確保しています。自社で求人広告を出したり、勉強会などのイベントを開催することによって優秀なエンジニアを採用しているのです。

    そしてこのエンジニア人材を経営資源として、クライアントに労働力として提供するのがSES事業の基本的な流れです。クライアント企業が自身で採用活動を行うと、求人サイトに広告を出す費用や、面接スケジュールを組む時間など、多大なコストがかかります。

    しかしSESを通じて優秀な人材を確保できれば、圧倒的に割安なコストで労働力を整えることができるようになります。したがってIT業界でもSESの需要は大きく、大手企業ならSESを利用していない会社の方が珍しいくらいです。

    なお、SESと混同されがちな存在として「SIer」(エスアイヤー)があります。SIerはSystem Integration(システムインテグレーション)を行う者(-er)のことを指します。このシステムインテグレーションとは、いわばシステム開発全般を請け負う事業のこと。

    システム構築の際には、クライアントの業務内容や課題を分析し、一社一社に最適なシステムを企画・設計し、構築していく必要があります。さらには構築後の運用・メンテナンスも重大なポイントであり、これらすべてを一挙に担うのがSIerという存在なのです。

    SIerはIT業界におけるシステム導入のコンサルタントとも呼べる業種です。契約方法や事業内容を表すSESとはまったく異なる言葉ですので、間違って使用しないように注意しましょう。

    また、「SE」という言葉もSESと混同してしまいやすいかもしれません。SEはシステムエンジニアという1つの職種のことを指します。求人広告などで「SE・PGを募集!」などと書かれている場合には、システムエンジニアやプログラマー(PG)を採用していると考えるとよいでしょう。

    請負契約・派遣契約・委任契約との違い

    SES事業は、いわば人材が欲しい企業と仕事が欲しいエンジニアをマッチングする契約です。こう聞くと、まるで派遣や請負契約と同じようなものと考えがちですが、実は3つの契約には明確な違いが存在します。

    具体的には、「指揮命令権」「約束内容」がそれぞれ異なってきます。

    まずSES契約の場合、指揮命令権はベンダー側にあります。実際にはクライアント企業のオフィスに常駐して作業を行いますが、仕事の指示を受けるのはクライアント企業の担当者ではなく、ベンター企業の担当者になるわけです。

    SES契約における約束内容は、労働力の提供になります。クライアント企業のオフィスでの業務に10時間従事したとしたら、10時間分の時間給が支払われます。SES契約ではエンジニアが成果物に責任を持つことはなく、仮に納品したシステムの品質が十分なものでなかったとしても、報酬が未払いになることはありません。

    次に派遣契約についてですが、こちらは指揮命令権がクライアント側にあります。クライアント企業のオフィスに常駐し、そのオフィスの担当者から仕事の指示を受けます。距離の離れたベンダー側から指示を受けるSESとは異なり、派遣契約は勤務先のオフィスで直に指示を受けることが特徴です。

    派遣契約における約束内容は、SESと同じく労働力の提供です。SESと派遣を比べると、派遣のほうがやや時間給は高めになります。

    そして請負契約は、指揮命令権がベンダー側にある点はSES契約と変わりません。

    ただしSESや派遣と大きく違うのは、約束内容が成果物の納品にあることです。請負契約の場合、時間給で報酬がもらえるのではなく、成果物に対して報酬が支払われるということです。つまりクライアントが求めるシステムを納品しさえすれば、10時間働こうが、100時間働こうが報酬は同じということになります。

    ちなみに、法律の世界では「委任契約」と呼ばれる契約形態もあります。委任契約は指揮命令件がベンダー側にあり、労働力の提供を約束内容と定めます。ただし、その仕事内容は法律行為を行うこと。通常はエンジニアが法律行為を手がけることはありませんので、IT業界にはそもそも委任契約は存在しない点に注意が必要です。

    偽装請負とは

    SES契約や請負契約の場合、派遣契約とは異なり指揮命令件がベンダー側にあることをお伝えしました。実際にはクライアント企業のオフィスで働くにもかかわらず、具体的な仕事の指示はベンダーから与えられるというわけです。

    普通に考えれば、クライアント企業からすれば自分たちの指示のもとでエンジニアたちが働いてくれるほうが都合がいいはずです。だからといって、SES契約や請負契約で働くエンジニアに、クライアント側が仕事の指示を出すと、「偽装請負」として違反行為に該当してしまいます。

    もし派遣されたエンジニアに直接指示を出したいのであれば、派遣契約を結んでいなければなりません。しかし労働者派遣を手がける場合、ベンダー側が「派遣業の許可」を取得しなければならないという法律上の取り決めがあります。

    この派遣業の許可を取得するためには一定のハードルがありますし、責任者の選任や、管理台帳の作成など業務負担も増えてきます。「そんな面倒なことは避けたい」と思うあまりに、SES契約や請負契約で派遣契約のようにエンジニアを働かせてしまうトラブルが起こるのです。

    偽装請負が判明した場合、ベンダー企業には「社名公表」「最大で1年間の懲役または100万円の罰金」というペナルティが科されます。ただし、実質的な指揮命令権がベンダー側にあったのか、それともクライアント側にあったのかを客観的に証明するのは難しく、違反行為が表沙汰になることはあまり多くないのが実情です。

    しかし実際に働くエンジニア側からしてみれば、実質的には派遣契約にも関わらず、割安な報酬額でSESまたは請負として働かされることになるため、正当な対価が支払われないリスクが出てきます。

    そのためSESや請負として働こうと考える際には、そのベンダー企業が法令・契約内容をしっかりと遵守する会社なのかどうかを見定める必要があるのです。

    こうした偽装請負などの問題が起こりやすいために、SESはブラックだと考える人や、法律的にグレーゾーンにあると意見する人も少なくありません。しかし派遣契約と比べるとクライアントの指示を細かく聞く必要がない点や、請負契約と比べて安定して報酬がもらえる点などを考慮すると、実際に働くエンジニアにとってもメリットの大きい契約といえます。

    1つの会社に腰を据えて働くよりも不安定になりますが、その分だけさまざまな職場を見て回ることができ、スキルアップやキャリアアップにつなげられる側面もあります。エンジニアとして働くあなた自身の性格次第では、SES契約が最も適した働き方になる可能性も十分あるのです。

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    SES契約のメリットとデメリット

    メリット、デメリット

    クライアント側の立場になって考えてみると、SES契約によって得られる大きなメリットがあります。それは採用活動に関するコストを抑えられる点です。自社でイチから人材を募集し、社内で教育して一人前に育てるまでには、莫大な費用と時間がかかります。

    そうした採用活動や教育に必要なコストよりも、SES契約で人材を揃えるコストのほうが安くすむため、IT業界の会社にとっては欠かせない契約形態となるわけです。「このプロジェクトの間だけ、エンジニアを増員したい」「システム開発が終わったら、保守・運用は自社でできるので大量のエンジニアは必要ない」など、細かなニーズにも柔軟に応えられる点も、SESが重宝される理由になっています。

    また、ベンダー側からしてもSES契約にメリットが存在します。SES契約は指揮命令権がベンダー側にあるため、残業時間や作業分担を管理しやすく、報酬額の計算が用意になるという側面があります。

    ベンダー企業が自社のオフィスで社員を働かせなくてすむため、広いオフィスやビルが必要ないこともメリットです。究極的には、SES事業はエンジニア人材さえいれば成り立つビジネスモデルのため、エンジニアからの転身を考える人にも相性の良い事業となっているのです。

    では、エンジニアとしてSES契約で働くメリット・デメリットはどんな点にあるのでしょうか?

    まずSESで働くメリットとして、幅広い経験を積める点があげられます。1つの会社に入社して働き続ける場合、基本的にその会社のオフィスでしか働くことはできません。プロジェクトの内容は移り変わるでしょうが、一緒に働く人や開発環境はほぼ変わらないのが普通です。

    一方でSES契約で働くとなると、一人で何社、何十社という企業のオフィスを訪れることになります。「あの会社ではこんなやり方だったけど、この会社のやり方のほうがいいな!」など、それぞれの職場のいいところだけを吸収していくこともできますし、いろんな人との出会いにより刺激を受けることも多くなるでしょう。

    エンジニアとしてやりたいことがまだ明確に決まっていない人の場合、SES契約によってさまざまな開発現場を見て回ることで、「これだ!」と思える目標が見えてくることも考えられます。

    SESで働くメリットの2つ目として、労働時間をコントロールしやすい点があげられます。SES契約は請負契約とは異なり、成果物に責任を持つ契約内容ではありません。請負契約の場合、納期に間に合わせるために徹夜して働かなければならないシーンも出てくるでしょう。

    しかしSES契約なら決められた時間内でだけ働いていれば問題ありません。仮に残業が発生したとすると、それはSES契約を結ぶクライアント企業の負担となるため、人件費の増大を嫌う企業からすれば残業をさせない方向へモチベーションが向かいます。

    つまりSES契約で働くエンジニアは、構造的に残業が発生しづらく、プライベート重視の人にとっては大きなメリットが生まれることになるのです。もちろん、バリバリ残業して残業手当で稼ぎを増やしたいと考える人には向かない契約といえます。

    続いてSES契約で働く場合のデメリットですが、第一に帰属意識が薄れてしまう点があげられます。次々に職場が変わって携わるプロジェクトも異なるため、1つの会社に対して愛着を持ったり、帰属意識を持ったりすることが少なくなります。

    実際に自分を雇っているはずのベンダー企業に対してさえも、用事がなければ会社に立ち寄ることもないため、ほぼ帰属意識は生まれません。SES契約のエンジニアの大半はクライアント企業のオフィスと自宅との往復となるため、「自分はどこで働いている人間なのか?」という悩みも抱えがちです。

    いくつもの職場を渡り歩き、何度も転職を繰り返しているような感覚にもなるので、安定を目指したいと考える人にとっては大きなストレスになる可能性もあります。

    SES契約の2つ目のデメリットとして、自分が関わったプロジェクトを最後まで見届けられないリスクもあります。SES契約はプロジェクト単位で結ばれるものではなく、一定の業務内容へ対価が支払われるものになります。

    するとプロジェクトが完成する前に職場を離れなければならなくなることもあり、人によっては不完全燃焼な感情を持つことも出てくるでしょう。技術力に自信を持つエンジニアからすれば、自分の成果が最後まで見届けることができない点に、不満を感じることも多いかもしれません。

    もちろんこれは「プロジェクトが失敗したとしても、自分の責任は問われない」というメリットの裏返しではあるのですが、仕事にやりがいや充実感を求めるタイプの人は、SES契約にはあまり向かないかもしれません。

    SES契約の平均年収

    SES契約で働くエンジニアの平均年収は、およそ300万円〜800万円ほどとなるようです。スキルや経験に応じて年収は上下し、希少なスキルや豊富な経験を持っている人ほど高く評価されるのはどこの世界も同じです。

    相対的に見てみると、IT業界の中ではやや低めの報酬水準となります。これはSESの性質上、報酬が低く抑えられがちという特徴が関係してきます、もしこれ以上の報酬を目指そうと考えるなら、別の働き方を検討したほうがよいでしょう。

    年収アップを目指せる優良SES企業の見分け方

    ここまで読んできた人の中には、SES契約で働くことに不安を覚えるようになったという人もいるかもしれません。たしかにSES契約にはいくつかのデメリットがあり、ブラックと呼ばれても仕方がないような企業も一定数存在します。

    では、SES契約でもスキルアップ・キャリアアップを叶えることができて、ホワイトな職場で働けるSES企業はどうやって探したらいいのでしょうか?

    結論から先に言えば、優良SES企業を見分けるポイントは「自社が抱えるエンジニアの成長を支援しているかどうか」にあります。エンジニア人材こそが最も重要な存在であると認識し、さまざまな制度や福利厚生を整えている会社なら、ホワイトな企業の可能性がぐんと高まります。

    SES事業は、エンジニアの数が増えて契約数が伸びるほど業績が伸びていくビジネスモデルになります。そのため積極的に人材を募集する企業は多くありますが、雇ったエンジニアに十分な教育を受けさせたり、充実した福利厚生を用意しようと考える会社はあまり多くありません。

    自分たちの利益重視でビジネスを展開するのではなく、エンジニア一人ひとりのことを考えた仕組みづくりを行っている会社こそ、私たちが安心して働けるSES企業と言えるのです。

    最後に

    SES契約は、派遣や請負とよく似た契約内容であるため、混同してしまう人は多くいます。しかし指揮命令権の所在や約束内容の面で大きな違いが存在しているため、これらの違いをはっきりと理解しておく必要があります。

    それぞれの契約内容を理解し、自分にあった契約方法を選んでキャリアを歩みましょう。

     
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