IT業界では様々な種類のエンジニアが働いており、業種・職種で呼び名が変わってきます。まず、IT業界ではインターネット・Web業界、情報処理サービス業界、ソフトウェア業界、ハードウェア業界の4つに分類できます。
インターネット・Web業界では、Webエンジニアと呼ばれる方が働いている場合が多く、Webサービスの設計・開発を行います。また、Webエンジニアの中でも、インフラエンジニア・バックエンドエンジニア・フロントエンドエンジニアなど様々に分かれています。
一方で、情報処理サービス業界では開発したシステムをお客さん先に導入していく場合が多く、客先常駐の案件が多くなっています。客先常駐で働くエンジニアの方はSESエンジニアと呼ばれており、Webエンジニアとよく対比で説明がなされることが多いです。
というのも、Webエンジニアは自社サービスの開発を行い、SESエンジニアは他社のシステム開発をメインで行っていくからです。巷では、SESエンジニアよりもWebエンジニアとして働く方が良いという評判が多く、SESエンジニアは批判の対象となることが多いです。
果たして「SESエンジニアとして働くことは辞めておいた方が良いのか?」「どんな人がSESエンジニアに向いているのか?」ということについてSESエンジニアに焦点を当てて、詳しく見ていきます。
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SESとはSystem Engineering Service(システム・エンジニアリング・サービス)の略で、システム開発における客先常駐を主に指します。お客様先に出向いて、お客様の現場でシステム開発を行うというイメージです。
SESとして仕事をする場合は準委任契約という形態で契約を結びます。仕事の指揮命令はクライアント側ではなく、ベンダー側がすることになっています。つまり、所属している企業から「このような案件に入ってください」とお願いをされ、仕事内容に関しても所属している企業から指示があります。エンジニアが1ヶ月に○○時間働くという契約を行い、その契約に対して報酬が支払われます。スキルや経験によって、同じ時間働いても貰える報酬が変化します。
一方でクライアントが要求していることは、エンジニアが何時間働くかということよりもその成果物です。特にフリーランスとして案件を契約する場合は、時間ではなく成果物に対して契約が起こる場合があります。1つの成果物に対して報酬が支払われるということです。このように時間に対して報酬が支払われるということはSESの大きな特徴です。
SESエンジニアはWebエンジニアと比較されることが多く、巷の評価としてはWebエンジニアの方が良い、SESエンジニアの方が悪いと言われることが多いです。というのも、SESを行う一部の企業では質の低い仕事を繰り返し行う場合があったり、偽装請負を行っている企業があったりするのも事実です。
一方で、Web系の企業では私服での勤務がOKだったり、出勤時間がフレキシブルで残業がほとんど無いという企業も多くあります。そうした極端な例で比較され、SESが批判されがちです。ただ、SESを行う企業でもスキルアップに意欲的な企業や労働環境の良い企業はもちろん多数あり、問題のある企業の方が淘汰されていくのは明らかです。また、WebエンジニアよりもSESエンジニアとして働くメリット、派遣よりもSESエンジニアとして働くメリットは多く存在し、どちらにも良さや悪さはあります。
SESのエンジニアとして働くことのメリット・デメリットについて、SESと自社開発企業、SESと派遣という2軸で比較していきます。
常駐することによって、お客様とのコミュニケーションロスやミスが起きる可能性を減らせるため、システム開発において常駐という形態を取る企業は多くなっています。そのため、働くエンジニア側からしてもお客様の要求に柔軟に応える姿勢やお客様と会話するためのコミュニケーションスキルが身につきやすいというメリットがあります。
また、自社開発をする企業にてエンジニアとして働くことと異なり、プロジェクトごとに仕事をするため、プロジェクトが終われば新しいプロジェクトへ参加ができます。そのため、様々な経験が積めて、様々な技術が手に入るというメリットがあります。派遣のエンジニアとして現場に入る場合と比べても、派遣の場合は業務の指揮を取るのはお客様ですが、SESの場合は自社の上司が指揮を取ることになるので、プロジェクト内でのコミュニケーションが取りやすく、評価も公平であると言えます。
また、SESに開発をお願いする企業は自社でエンジニアを束ねる人材・環境が不足している場合が多く、SES開発ではマネージメントやリーダーとしての活躍を期待され、裁量を持って仕事出来る場合は多いです。成長を望むエンジニアには大きなメリットと言えるでしょう。それに比べて派遣ですと、お客様から派遣の方へ業務の指揮をすることになるので、お客様が特定の業務を切り出し、その業務を進めるという形で仕事を行います。そのため、派遣ですとSESに比べて裁量を持てないことが多いです。
自社開発の場合と異なり企業のシステム開発の一部に携わることが多いので、プロジェクトを最後まで見届けられない事がデメリットといえるでしょう。様々なプロジェクトで経験と技術は身につきやすいですが、明確なキャリアプランを持っておかないと特定の領域の経験や技術が身に付きづらいのもデメリットです。
また、SES契約と派遣の区別がつかない担当者が、SES契約のエンジニアに指示を出してしまい、偽装請負化するリスクがあります。その他には特定の開発が終わるまで帰ってはいけないという圧力がお客様からかかる場合があります。SESでは、契約において業務完遂を保証しておらず、集合時間・終了時間などの「拘束時間の決定」も業務上の指示となっており、クライアント企業が命令する権限がありません。これはSESとの契約内容を無視している発言であるので、しばしば問題として取り上げられることがあります。
SESに向いている人をズバリ挙げると、「様々なプロジェクトを経験したい人」「クライアントとのコミュニケーションを大事にする、コミュニケーション力を上げたい人」「プロジェクトのマネージメントをいち早く経験したい人」です。
SESを行う企業の中ではクライアントのコンサルティングまで携われる企業もあります。よりクライアントとの距離感を大事にし、コミュニケーション力や問題特定・解決のちからをつけたいという方にはコンサルティングまで行っている企業も視野に入れていくと良いでしょう。
Webエンジニアと違って、クライアントとの距離が近いSESエンジニアだからこそ積める経験と言えます。
SESはやめとけ! 巷でなぜ嫌われるのか? 本当のところを教えて というテーマで今回はお伝えしました。いかがだったでしょうか? 今回お伝えしたかったことは以下のとおりです。
この記事を読んで、SESに向いている・向いていないという適性が自分の中で落とし込むことができたでしょうか。SESにも良さ・悪さがあるので、メリットとデメリットを比較した上で、SESエンジニアとしての道を検討してみてください。
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