Salesforce資格を取得してエンジニアとしてスキルアップしたいと考えているものの、Salesforce資格の中身や難易度がよく分からないという方も多いのではないでしょうか。Salesforceは世界でもっともシェア率の高い顧客関係管理(CRM)システムです。資格を取得することで、Salesforceスキルを保有していることを証明することができます。
本記事ではSalesforce資格の概要についてまとめました。Salesforceの資格を取得するメリットや種類、難易度について解説します。本記事を読むことでSalesforceの資格がどういったものなのか分かり、Salesforceの資格を受験するか決めることができます。Salesforce資格について興味がある方はぜひお読みください。
ところで、みなさんSalesforceを使ったことはありますか? CRMシステム自体、あまりITエンジニアがユーザーとして利用するものではないので「名前くらいは知っているけれど、使ったことはない」という方のほうが多いように思います。
CRMシステムとは、簡単にいうと商談や案件の状況や顧客の行動原理などを分析し、よりよい営業活動に結びつけようとするためのシステムです。このようなCRMシステム自体は目新しいものではないですが、Salesforceはある重要な革命を起こしたことで、世界でもっともシェア率の高いCRMシステムとなっています。
Salesforceが起こした革命とは、クラウドサービスサービス(Software as a Service、いわゆるSaaS)の登場です。クラウドサービスといえば、AWS(Amazon Web Service)が有名ですが、世界初のクラウドサービスはSalesforceだと言われています。
クラウドであるSalesforceは月額制です。導入コストが低く抑えられ、利用企業側で独自の機能を開発し、拡張することができるメリットがあります。他の企業からも、Salesforceと同じようなメリットを持つクラウド型CRMシステムが登場していますが、先行者利益もあり、Salesforceの一人勝ちと言える状態です。
Salesforce資格を取得するメリットについてまとめました。メリットは次の3つです。
それぞれについて詳しくみていきましょう。
Salesforceの資格を取得することで自分の知識やスキルを証明することが可能です。資格があれば、「最低限このレベルのスキルはある」ということが取引先や上司に伝わりやすくなります。特にSalesforce関連の資格の場合、資格保有者がいる会社名が公式サイトに公表されています。
Salesforce関連の仕事を依頼したい会社は、Salesforce資格保有者がいるかどうかを重視する場合も多いです。つまり、Salesforce資格を保有することによって、勤めている会社がSalesforce関連の仕事を得られる可能性があるということです。会社に貢献したい方にもSalesforce資格はおすすめできます。
エンジニアとしてのスキルアップにつながるのも、資格を取得するメリットです。Salesforceは顧客管理システムの中でも多く使われているため、エンジニアなら習得して損はないスキルと言えます。スキルの幅を広げることはエンジニアにとって重要ですが、日々の仕事に精一杯で、学習のモチベーションが保てない方も多いでしょう。資格合格という明確な目標を設けることで、モチベーションを保ちやすくなります。特にSalesforceの資格は受験科目が難易度別に分かれており、1つの科目に合格するたびに成長を実感できるため、学習を継続しやすいでしょう。
Salesforce資格を習得することで、転職が有利になります。「資格は意味がない」と考える人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。特にSalesforce資格は知名度が高く、採用担当者の目を引きやすいのでおすすめの資格です。
また、年収アップを目的として転職活動を行う場合、何らかの付加価値をつけることが大切です。エンジニア転職では、スキルレベルの高さが重視されますが、プログラミングなどの基礎は他の求職者も保有していることが多いため、それらのスキルをアピールしても差を付けられません。Salesforce関連のスキルは保有していないエンジニアも多いため、差別化を図ることができます。
Salesforceの基本資格は、以下の3つです。詳細は公式サイトを参照してください。
それぞれ見ていきましょう。
CRM管理者/コンサルタントの基本資格は、以下の2つがあります。
Salesforce 認定アドミニストレーター試験では、Salesforce CRM システム管理者を認定します。Salesforce 組織のメンテナンスや、業務要件に基づいた管理機能を実行できる能力が求められる試験です。また、Salesforce 認定 CPQ スペシャリスト試験では、バンドル設定、価格設定、出力ドキュメント、更新および修正を構築できるスペシャリストとして認定します。
続いて、開発者/アーキテクトの基本資格は以下の通りです。
最後に、マーケター/コンサルタントの資格は以下の通りです。
ITエンジニア向けの資格という意味では「開発者/アーキテクト」の分類に属する「認定Platformデベロッパー」や「認定Platformアプリケーションビルダー」あたりが順当な候補ですが、所属する会社や組織の業務範囲などによっては「CRM管理者」の分類に属するものを受けた方がいいこともあるでしょう。
Salesforceの資格試験には“格付け”があります。「基本資格」とされているものは、誰でも受けられますが、「上位資格」は特定の「基本資格」に合格していることが前提です。Salesforceの上位資格は、以下の3つに分かれています。
CRM管理者/コンサルタントに関する上位資格を紹介します。基本資格である認定アドミニストレーター試験の上位資格は、以下の通りです。
認定Service Cloudコンサルタントには更にField Service Lightning コンサルタントという上位資格があります。
また、開発者/アーキテクトに関しては基本資格にある認定Platformアプリケーションビルダー、認定Platformデベロッパー、認定Date Architecture and Managementデザイナー、認定Sharing and Visbilityデザイナーの上位資格が、認定アプリケーションアーキテクトにあたります。
基本資格にある認定Development Lifecycle and Deploymentデザイナー、認定Identity and Access Managementデザイナー、認定Integration Architectureデザイナーの上位資格が、認定システムアーキテクトにあたります。
そして、基本資格にある認定アプリケーションアーキテクトと、認定システムアーキテクトの上位資格が、認定テクニカルアーキテクトにあたります。
マーケター/コンサルタントに関しては基本資格にある認定Pardotスペシャリストの上位資格が認定Pardotコンサルタント、認定Marketing Cloudメールスペシャリストの上位資格が認定Marketing Cloudコンサルタントにあたります。
「認定テクニカルアーキテクト」の人数ですが、Salesforceの公式サイトによると、2018年6月の時点で全世界で約240名、日本では13名しかいないそうです。現在ではもう少し増えている可能性はあるとはいえ、認定テクニカルアーキテクトは難易度が非常に高く、そして希少性がある資格であることがうかがえるでしょう。
他の会社が実施するベンダー試験にも言えることですが、Salesforceの資格試験は、Salesforceユーザー、開発者をターゲットにしているものです。実務経験のない方にとっては、用語がわからずなにを問われているのかもわからない、という事態になりがちです。
実際、Salesforceの公式ドキュメントでも、各「基本資格」を受ける方には、“1年から2年の業務経験があること”と“出題範囲になる製品やサービス、開発言語の経験があること”、各「上位資格」を受ける方には、“2年から4年の業務経験があること”と“出題範囲になる製品やサービス、開発言語の経験があること”が望ましいとされています。
人によって業務経験の“密度”が異なるので、必ず2年程度の業務経験で取れるわけではないと思いますが、「基本資格」は情報処理試験でいうところの基本情報技術者試験レベルの試験と考えていいかと思います。対して、「上位資格」は、“2年から4年の業務経験があること”が目安ですが、「基本資格」より専門性も高まるため、「基本資格」よりもだいぶと難易度が上がるようです。
Salesforceの資格試験勉強をするうえで、一番の問題になるのは、試験対策用の参考書や問題集の類が極端に少ないという点です。少なくとも書籍は存在しないように思います。書籍がない以上、周りの受験経験者やインターネットで、どういう問題が出たのか、なにが問われるのか情報収集するしかありません。しかも、そのような“口コミ”レベルの情報もあまり多くありません。学習プランが立てにくい、という意味で非常に勉強が難しい資格試験と言えるでしょう。
「ネットで調べたけれど、よくわからなかったし、周りに相談できる人もいない」という方は、“一度、ダメ元で受けてみる”のも手のように思います。問題を解くというよりも、どういう問題が出てきたのか、どんな用語が使われていたのかを確認することで、なにを勉強すればいいか方向性が見えてくるはずです。それから本格的な学習をはじめるのもアリです。たしかに受験料が無駄になってしまいますが、間違った口コミから、出題範囲や傾向を見誤った状態で学習するよりも効率がいいでしょう。
実際の学習ですが、Salesforceの資格試験は、基本的には“実技”だそうなので、実際に製品を操作してみることが重要です。わざわざ個人で契約したいものではないかもしれませんが、業務の中だけでは不十分だと感じた場合は、無償トライアルを活用するなどして、触れる機会を増やすようにしましょう。
結局、Salesforceの資格を取る意味があるの?というところですが、Salesforceのシェアが海外でも日本国内でも非常に高いことから、資格としての価値は高いと言えるでしょう。また資格を持っていることで、顧客から信頼されやすいというメリットもあります。
ITエンジニアの転職市場においても、Salesforce専門、専門とまではいかなくても得意とする開発会社(ソフトウェアハウス)が増えており、「基本資格」をひとつ取得しているだけでも強力な武器になることが予想されます。
ただ、まだまだ国内の転職市場では「Salesforceの資格必須」という企業は少ないでしょう。一般化していないからこそ、他人と差別化できるという考え方もあると思います。しかし、CiscoやOracleなど他のベンダーが行っている資格試験の方が、転職市場での価値は高いとされているのが現状です。
ちなみに、Salesforceによると世界でも240人ほどしかいない認定テクニカルアーキテクトの平均年収は、約15万ドル(日本円にすると約1600万円)とのことですから、たしかに高年収を狙える資格と言えるでしょう。
Salesforceの資格を取得したあとは、年1回の更新が必要です。資格を更新するためには、Salesforceが提供する更新モジュールを完了する必要があります。更新モジュールは、Salesforceのオンライン学習システムであるTrailhead上で行います。ハンズオンや問題演習が含まれるので、しっかりと勉強をしてクリアを目指しましょう。
なお、更新モジュールの配信スケジュールは資格ごとに異なるので、以下の公式サイトの情報を確認してください。更新モジュールを完了して資格を更新しないと、上位資格も含めてすべての資格が無効になるので、必ず更新をするようにしましょう。
https://tandc.salesforce.com/release-exam
フリーランスエージェントであるテクフリでは、Salesforce案件が246件掲載されています(2023年9月時点)。その中でも月単価80万円を超える案件は143件です。このことから、SalesforceエンジニアはIT系の仕事の中でも年収が高めだと想像されます。
Salesforceは多くの企業において導入しやすいサービスです。そのため、Salesforceのスキルを持った人材は市場価値を高めやすい傾向があります。
最後に、Salesforceの案件情報についてまとめました。フリーランスエージェントであるテクフリには、Salesforce案件も数多く掲載されています。どのようなSalesforce案件があるかを知ることで、Salesforceエンジニアとして働くイメージも湧いてきます。ぜひご確認ください。
繰り返しになりますが、ベンダーが行う資格試験は、そのベンダー製品を扱っていない方にとっては難しいものになります。これはSalesforceにも当てはまるものです。しかも、Salesforceの資格試験はマイナーではないのに、情報量が少ないという変わった特徴があります。
数年の実務経験があり、周りにすでに受けた方がいる“恵まれた”環境であれば「基本資格」レベルであれば、それほど苦労しないと思われます。しかし、独学で合格を目指す方など“恵まれていない”環境だと、非常に苦労する資格試験です。
近年では、Salesforceを得意とする開発会社が増えており、「基本資格」ひとつでも強力な武器になることが予想されます。
Salesforceの資格についてよくある質問をまとめました。
Salesforceとは世界でもっともシェアの高い顧客関係管理(CRM)システムです。Salesforceは世界初のクラウドサービス型CRMシステムで、月額制となっているため導入コストを低く抑えられます。さらに利用企業側で独自の機能を開発し、拡張できるメリットがあります。
Salesforceの資格は、以下の4つに分類されます。
・CRM管理者/コンサルタント
Salesforce製品の導入や設定など管理者のための資格試験
・開発者/アーキテクト
Salesforceの機能開発者のための資格試験
・EinsteinAnalytics
SalesforceのAIサービスで、AIを使ったデータサイエンティストのための資格試験
・マーケター/コンサルタント
PardotというBusinesstoBusiness(BtoB、B2B)用製品など、サービスを活用するメンバーのための資格試験
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