領収書やその他の経費としていくら使ったか証明できるドキュメント(レシートなど)を保存しておくメリットは、経費の支払いがあったことを証明できる、という点です。
もっと言うと、領収書がないものを、確定申告で経費計上するのは、本来、あってはならないことです。確定申告の際、確定申告書は税務署に提出しますが、領収書は提出を求められません。ですから、本当は支払っていないお金を経費として計上して、確定申告することも可能です。
しかし、経費として計上した支払いを証明するドキュメントは申告者の責任で7年間保存するように法律で決められています。万が一、税務調査などで税務署から提出を求められた際、「ドキュメントがない。経費の支払いを証明できない」という事態になると、うその申告を行ったとして、追徴課税を受けるなどのペナルティを課されるかもしれません。
というわけで、領収書はきちんと受け取り、きちんと管理しましょう。
ところで経費とは、“業務上必要な支出”です。最終的な利益(純利益)は売上-コストですが、このコストがつまるところ経費という訳です。
そして、ここが重要なポイントですが、経費として計上して良い支出について、明確なルールがあります。このルールのことを知らずに「これも経費として認められると思ったのに、税務署にダメだと言われた」という失敗をするフリーランスの方が後を絶ちません。
そこで経費として認められるもの、認められないものについて簡単にですが、確認しておきましょう。
まず、青色申告決算書で経費として勘定項目は約19種類あります。19種類は以下の通りです。
気を付けるべきポイントは、いずれも「事業に必要な支出である」という点です。仕事で車を使わないのに、所有する自動車の自動車税を経費として計上したり、プライベートで使うスマホ代金を通信料として経費計上してはいけません。
ただし、自宅兼事務所といった風に、プライベートでも業務でも使っている施設、設備、サービスもあると思います。その場合は、「事業専用割合(業務で利用している割合をパーセンテージで表したもの)」に応じた金額を経費とすることが可能です。
逆にいえば、自宅で仕事をすることのあるリモートワーク・フリーランサーの場合、自宅を事務所として扱うことで、家賃の何割かを経費として計上することも可能になります。この場合、1か月30日24時間として、業務をしていた時間÷720時間で算出した数字を「事業専用割合」とするのが妥当かと思います。光熱費も同じように、「事業専用割合」を算出して、経費とすることができます。
二つ目の要注意ポイントは、「フリーランスの方が自分で福利厚生費を使うことはできない」点です。息抜きで始めた習い事や、旅行などの費用を福利厚生費とした結果、税務署に「それは福利厚生費になりません」と指摘される方が少なくないです。
福利厚生とは経営者が従業員に対して提供するものです。企業に所属しないフリーランサーは従業員ではなく、経営者です。つまり、福利厚生を提供することがあっても利用はできません。よって、福利厚生費という勘定科目自体が利用できないのです。
ただし、詭弁と言われるかもしれませんが、福利厚生費から他の勘定科目にシフトさせることで、経費として通すことは(一応)可能です。
例えば、習い事には取引先の方もいて、業務上の付き合いで通っている、ということであれば、接待交際費として“経費で落とす一定の根拠”があると言えます。あるいは、営業活動を目的とした旅行であれば旅費交通費になるでしょう。
このあたりのテクニックが気になる方はプロの税理士に相談されるのが良いかと思います。
さて、経費の支払いを証明してくれる領収書ですが、領収書にも記載のルールがあります。結局、「どこの誰がいつ何円支払ったのか?」がわかる必要があるので、次の5項目が必須となります。
ちなみに、税抜き価格で5万円以上の取引の場合、原則、収入印紙の添付が必要になります。さらに補足すると、収入印紙とは、印紙税という税金の支払いを証明するものです。収入印紙の添付が義務付けられている領収書に関わらず、収入印紙が添付されていないことが、うっかり税務調査で発覚すると、過怠税(つまりは滞納金)の支払いが発生する恐れもあります。
経費の支払いを証明する手段として、最も代表的な領収書ですが、実はお店側には発行義務がありません。つまり、「領収書発行してください」とお願いした結果、「嫌です」と言われると、それ以上のお願いはできません。
そこで、領収書以外の方法で経費の支払いを証明しても良いことになっています。主に、次の五つです。
いずれのものも、「どこの誰がいつ何円支払ったのか?」がわかるという意味で、領収書とほぼ同じ機能のあるものですよね。
少々、話が逸れますが、フリーランサーの方は、仕事用のクレジットカードを持った方が良いと言われることが多いのは、利用明細が領収書の代わりとして使える点も理由の一つです。
経費の支払いを証明する領収書は7年保存する必要があることをご紹介しましたが、何枚、何十枚にもなる紙の領収書を集計して書類入れに保存するよりも、クレジットカード会社のサイトからCSVやPDFなどの形で利用明細をダウンロードして、パソコン上に保存しておく方が管理・保存が楽ですよね。
何度か触れましたが、経費を支払ったことを証明するための領収書や領収書の代わりとなる書類の保存期間は、7年です。
確定申告が終わるとホッとし、誤って破棄したり紛失させてしまう方も多いようですが、税務調査などの際、領収書という証拠がないと、「これって本当に支払ったの?」ということになってしまいます。くれぐれもなくさないようにご注意ください。
3つの質問に答えるだけで、フリーランスエンジニアとしての単価相場を算出します。 スキルやご経験にマッチする案件もあわせてご紹介いたしますので、気軽にご活用ください! ※単価相場の算出に個人情報の回答は必要ございません。