非エンジニアの人々からすると、「エンジニア」という言葉から連想するのは「パソコンに向かってプログラミングをしている人」というイメージでしょう。
しかし、実際にIT業界に携わってみると、「エンジニア」と名前がつく仕事の種類は非常に多くあり、とてもじゃないですがそのすべてを把握することは困難なように思えてきます。とはいえ、自分のキャリアを考えるにあたっては、IT業界に存在する仕事の種類を把握しておくことは不可欠。
そこでtechcareer magazineでは、代表的な21個のエンジニア系職種について、その特徴や仕事内容、年収から必要になる資格といった情報を取り上げています。この記事でフォーカスを当てるのは、「ゲームデバッカー」と呼ばれる職種です。業界では「ゲームテスター」ともよばれる彼らは、一体どんな仕事を担当しているのでしょうか?
「ゲームテスター」という別名からも分かる通り、完成したゲームにバグや不具合がないかをチェックすることが、ゲームデバッカーの主な仕事です。据え置き型のテレビゲームはもちろん、スマホ向けゲームアプリも含め、ゲームと名のつく商品やサービスには不可欠な存在といえるでしょう。
ゲームやアプリが予期しない動作を起こしたり、強制終了してしまったりする不具合を「バグ」と呼び、バグの修正を行なうのが「デバッグ」という作業です。デバッグを担当するのは、主に開発に携わるエンジニアで、ゲームデバッカーが修正作業を行うことはありません。
ゲームのバグを徹底的に見つけ出し、エンジニアに報告する。その修正を再確認して次なるバグを洗い出す…。これらの作業の連続により、ゲームの品質を高める役割を担っているのが、ゲームデバッカーという専門職なのです。
バグを発見するという使命を与えられているものの、ゲームデバッカーの仕事は基本的に「ゲームをプレイすること」にあります。実際にユーザーの一人としてゲームで遊び、厳しい目をもってバグをチェックするのがゲームデバッカーの仕事。
そんな特徴を持つ職種なだけに、ゲーム好きな人やゲームマニアからも人気を集めているのが、ゲームデバッカーという職種でもあります。
ゲームデバッカーの仕事内容を大きく分類すると、次の3つの業務に分けることができます。
1つは、正しくゲームが動いているかを確認する「動作チェック」です。クライアントや設計書の仕様通りの内容が反映されていて、ストーリーや世界観にミスマッチがないかをチェックします。クライアントが求めるクオリティを満たしているか、問題点がないかを開発担当のエンジニアに質問しながら進めていきます。
2つ目として、「操作チェック」の業務が加わってきます。スマホアプリであれば、タッチ操作やスワイプ動作が正常に認識され、ゲームを操作できるかどうかを確認します。据え置き型のゲーム機向けであれば、実際のコントローラーを使って操作を確認していきます。
3つの業務が「記録・報告」です。一連の業務の中で発見したバグや不具合を、一つひとつ記録にとって開発エンジニアへ報告することが、ゲームデバッカーのもっとも重要な仕事といえます。
もちろんゲームリリース後もゲームデバッカーの仕事は続きます。特に最近のゲームはネットワークにつなげてゲームのアップデートを配信するものが多いため、アップデート後のゲーム動作に問題がないかを再チェックしたり、開発段階では見つけられなかったバグを記録したりと、長く遊んでもらえるためのゲーム制作に携わるポジションなのです。
ゲームデバッカーは、直接的にゲーム開発に携わる職種ではありません。もちろん開発経験があるに越したことはないですが、スマホやゲーム機を操作し、パソコンを操作する基礎的なスキルさえあれば仕事に就くことが可能です。
ゲームデバッカーは、直接的にゲーム開発に携わる職種ではありません。もちろん開発経験があるに越したことはないですが、スマホやゲーム機を操作し、パソコンを操作する基礎的なスキルさえあれば仕事に就くことが可能です。
したがってゲームデバッカーの希少性はそれほど高くなく、ある程度の実績を残さないと年収アップも難しいポジションとなっています。2010年に出版された『デジタルゲームの教科書』(ソフトバンククリエイティブ)では、デバッガーの平均年収は258万円。サラリーマン全体の平均よりも、かなり低めの水準となっています。
また、ゲームデバッカーとして正社員で雇用されることも多くありません。そのほとんどがアルバイトという立場で業務に携わることがあります。特別なスキルを必要とせず、かつゲーム開発に間接的に携わることができることから、プログラマーやシステムエンジニアの新人がゲームデバッカーを兼ねるところもあります。
ゲームデバッカーになるための必須の資格というのはありませんが、開発担当のエンジニアと連携を取るコミュニケーション力が重視されます。クライアントやエンジニアの思いを汲み取り、仕事に反映させる共感力も欠かせない仕事といえます。
「こんな些細なバグは無視してもいいのかな?」と考えず、積極的に指摘していくことが求められる仕事ですので、ある程度自己主張が強く、どんどん意見を発信していける人が向いている仕事です。
加えて、バグや不具合を注意深く探し、細大漏らさずエンジニアに報告するための几帳面さや注意力の強さも仕事で生かされてくるスキルです。どれも特別な訓練を必要としないものではありますが、エンジニア本人の性格や素質が問われる職種と考えることができるでしょう。
なお、ゲームデバッカーとして働くにあたって、職場によってはWordやExcelを使って仕様書や記録のやり取りを行うところもありますので、パソコンの操作スキルとともに、オフィスソフトの操作スキルも高めておくと役に立つかもしれません。
また、タイピングが早ければそれだけ業務を効率化させることができるため、パソコン初心者に比べて採用されやすくなることも考えられます。正確かつ簡潔に文章をまとめ、わかりやすい記録を残せるかどうかも、ゲームデバッカーとして評価されるポイントです。
ゲームデバッカーが活躍できる業界としては、基本的にIT業界またはゲーム業界の2つに絞られます。
ゲームアプリを含めたスマホ向けアプリを手がけているIT企業や、ゲームソフトを専門に開発しているゲーム制作会社のいずれかが、ゲームデバッカーの基本的な勤務先となるでしょう。もしくは業務委託という形で在宅で仕事を請け負うこともできなくはありません。
パソコンやスマホ、ゲーム機本体などを自宅に揃え、個人として企業から仕事を請け負うことで、フリーランスのような立場でゲームの制作に携わる働き方です。フリーランスであれば、職場の人間関係にわずらわされることなく仕事に集中できるかもしれません。
ゲームデバッカーという仕事は、業界全体でも需要が高いポジションとなっています。スマホ向けにを中心に盛り上がりを見せているゲーム業界にとっては、優秀なゲームデバッカーの存在は必要不可欠。
ゲームデバッカーとしての高い実績を誇る人であれば、企業から声がかかることも少なくないと考えられます。
ただし、ゲームデバッカーには特別なスキルを必要としないことから、AIによる自動化が推し進められていることに注意が必要です。人の力でチェックするのではなく、機械にバグのチェックをさせようという試みです。
今はまだ実用化段階ではないものの、将来的にはゲームデバッカーという職がなくなり、AIに置き換えられるということも十分に考えられます。ですので、最初からゲームデバッカーを目指すのではなく、まずゲームデバッカーからゲーム業界に入って、プログラマーやディレクターを目指していくことが最善の道となるでしょう。
ゲームテスターとも呼ばれるゲームデバッカーは、エンジニアと呼ばれる仕事の種類の中でも、特に難易度が低く特別なスキルも必要としない仕事です。学生やフリーターを中心にアルバイトとして雇用されることが多く、ゲームデバッカーからゲーム開発を担当するエンジニアへとステップアップすることが、理想のキャリアパスといえます。
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