データサイエンティストとは、膨大なデータ、すなわちビッグデータから、ビジネスに活用できる情報を発掘する技能を持つエンジニアです。
統計学やデータ分析技法などを縦横に駆使しつつ、ビッグデータを扱います。
それらに加え、経営や企画などのビジネススキルから心理学まで、広汎な分野の知識が必要とされます。
データサイエンティストがいなければ、ビッグデータを持っていても宝の持ち腐れになってしまうといえるでしょう。
データサイエンティストには高い技術力や専門スキルが求められます。
現在の状況として、データサイエンティストの供給がその需要を満たせていないため、採用現場では売り手市場が続いています。
平均年収.JPによりますと、データサイエンティストの年収の範囲は440万円から870万円ほどで、平均は655万円とのことです。
雇用形態や職種などによっても差が見られますが、根本的にはやはりその人のデータサイエンティストとしての実力や実績によって差がついていると見るべきでしょう。優秀なデータサイエンティストは企業からの需要も高く、年収も高めです。
データサイエンティストは、データを解析するだけでなく、そこから得られた知見を実際のビジネスにどのように活かせるかを考えます。したがって、ITや統計に関する高度な知識だけでなく、ビジネスの理解やコミュニケーションスキルなども必須になります。
データの収集から分析、レポート作成まで、データサイエンティストとして仕事をするには、分析基盤となる環境の構築や運用のスキルが不可欠です。収集データを扱いやすいようにデータベース環境を構築し、必要なときに随時データを引き出せるように管理しておく必要があります。
また、ログ収集のバッチプログラム作成、BI(Business Intelligence)ツールへのデータ挿入、独自の解析プログラム作成など、コーディングスキルを求められる機会がしばしばあります。多くはデータ整形を行う処理ですので、RubyやPythonのようなスクリプト系の言語を1つ以上習得しておくとよいでしょう。Pythonは機械学習でも使用されます。
そのほかにもExcelやAccessから、HadoopやSQL、MATLABやSASやMinitabまで、各種のデータ分析プログラムも知っておくと役に立つはずです。不正侵入やデータ流出などを起こさないよう、セキュリティに関するITスキルも重要です。
データ分析を学ぶ大前提として欠かせないのが、「統計」「確率」「微分積分」などの数学の知識です。高校レベルが最低限、できれば大学レベルであれば望ましいです。データ分析には「統計処理」「回帰分析」「データマイニング」などの多様な分析手法がありますが、こういった手法を手作業で行うのは非常に複雑で大変なため、対応した分析ツールを使用します。
これら分析ツールを単にブラックボックス的に使うのではなく、きちんと仕組みを理解して使うためにも統計やデータ分析の基本知識は必要です。ビッグデータやそのデータ分析の分野は、今もなお発展の真っ最中です。そのため、機械学習やディープラーニング、画像・テキスト・音声分析など、最新の動向の把握も日々怠らないことが大切になってきます。
データサイエンティストは、データの解析結果をもとに仮説を立て、ビジネス課題の改善案を提案したりします。そのため、データ分析スキルに加え、データが対象としているビジネスへの理解が必須です。ここで、ほとんどの管理職は、データサイエンティストほどにはデータ分析分野に精通していません。統計学やデータ分析に関する基礎的知識がない人たちに対しても、分析結果の説明や提案をわかりやすく伝える能力が重要です。
データ分析などの専門用語をひけらかすことによってではなく、提案の中身の価値を伝えることによって、ビジネスへの貢献を示すことのできるコミュニケーション能力が大事です。また、データ分析の際、創造力やある種のビジネスセンスがあると意外な発見ができることがあります。公私問わず幅広い分野に関して興味を持ち、勉強したり経験したりしておくと、物事をさまざまな角度から見るセンスが身につくでしょう。
データサイエンティストに必要な知識を体系的に学びたい場合は、関連する資格の取得してみるのもいいでしょう。データサイエンティストにおすすめの資格はこちらの記事でさらに詳しく解説していきます。
データサイエンティストに役立つ資格6選! 資格取得のメリットや将来性について解説します
データサイエンティストは、ビッグデータの分析結果をもとに、ビジネス課題の解決や改善のための提案を行います。
大量の顧客データ分析を行うことで、顧客の嗜好を分析して新商品開発や現行商品の改善につなげたり、顧客の消費行動の変化を読み取って効果的な販売戦略を打ち出したりするのはその一例です。さらに詳しく見ていきましょう。
情報戦はスピードが大切です。まず、業務システムやSNSなどの様々な情報源から、集められるだけデータの収集を行います。収集されるデータの量は膨大になるため、収集する際にも、整理整頓を行う必要があります。統一性のない大量のデータを、より利用しやすいフォーマットへと変換します。
収集したデータを、SAS、R、Pythonのようなプログラミング言語によって分析します。必要なデータと不要なデータの取捨選択の見極めも大切になってきます。ここで、データに潜んでいるパターンや秩序を発見したり、ビジネス上の利益に寄与する傾向の特定を行います。統計学やデータ分析だけでなく、ビジネスや人間心理も含めた幅広い知識が求められます。
データサイエンティストの本領発揮と言える仕事ですが、この分析の仕方や分析結果によって、ビジネス課題への対応策も変わってきます。その意味でも非常に重要な仕事のひとつといえます。
分析結果を表やグラフに整理し、説明や注釈をつけます。専門知識がなくても理解しやすいような形式で、ビジネス課題に対する仮説や提案を含んだレポートを作成します。このようにして、データ分析の手法を用いてビジネス課題を解決に貢献します。IT部門と業務部門とのコミュニケーションであり、コラボレーションともいえるでしょう。
その後、提案が実施されれば、仮説の通りになるかどうか経過を観察します。同時にデータの収集は継続して行い、新たな分析や検証につなげていきます。
データサイエンティストは現在も様々な分野で必要とされています。ビッグデータを保有する企業や組織は今後も間違いなく増えていくでしょうから、データサイエンティストに対する需要も将来にわたって増えていくことが見込まれます。
データサイエンティストの需要が多い分野といえば、やはりマーケティングの分野でしょう。リアル店舗でもECサイトでも、購入履歴や顧客情報などを組み合わせた解析を行い、それに基づく購入予測を立てることは、競争優位に立つ上で非常に重要です。
さまざまな業界や分野、商品やサービスなどの特性に合わせた適切なデータ解析手法に精通しているデータサイエンティストへの引き合いは多くなりそうです。
企業活動などで収集されたデータがビッグデータとなり、そのビッグデータの活用が広がっていく中、データサイエンティストの活躍の場は急速に拡大しています。現在は、企業などにおけるデータ活用の需要の高まりに対し、データ分析スキルを持った人材の供給が世界的に不足しています。
日本を含む世界各国がその育成を急いでいるように、データサイエンティストは人材不足が懸念されているエンジニア職種であり、非常に高い需要のある職種です。このようなブームともいえる状況の一方で、「データサイエンティストはいずれはAIに置き換わる」などとも言われています。
ただ、データ分析においては人間的な直感や感覚も重要な要素であり、現状のAIではこの点をまだうまく処理することができません。また、データ分析で得られた知見を、わかりやすい表現で伝える必要もあります。AIの進化によってデータサイエンティストが淘汰されてしまう可能性は、将来的にはゼロではないかもしれませんが、しばらくはなさそうです。
データサイエンティストの仕事内容や年収などについてご紹介しました。Harvard Business Review誌の2012年10月号では、データサイエンティストは「21世紀で最もセクシーな職業」と表現されました。ビックデータ活用の広がりとともに、データサイエンティストの活躍範囲はこれからもさまざまな分野で広がっていくことが予想されます。
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