最近では、サイバーセキュリティの問題が日々取り上げられるようになり、ニュースなどで耳にする機会も多くなってきたのではないでしょうか。個人情報を取り扱う企業においては特にセキュリティ対策は優先順位が高く、力を入れている企業も少なくありません。セキュリティを担保する役割を担っているのが、セキュリティエンジニアです。
本記事では、セキュリティエンジニアに必要なスキルや資格、仕事内容、そしてこの職種の魅力について詳しく解説していきます。また、年収や将来性についても説明していくので、気になる方はぜひ確認してみてください。
セキュリティエンジニアは、情報技術(IT)の専門家であり、企業や組織のデータ、ネットワーク、ソフトウェア、ハードウェアを様々な脅威から守る役割を担っています。サイバーセキュリティのフレームワークを設計、開発、実装、維持し、セキュリティポリシーと手順を決定し運用することが重要です。さらに、セキュリティエンジニアは、ハッキング、データ侵害、ウイルスなど、外部および内部からの攻撃に対する防御策を確立しなければなりません。
特に、最先端のセキュリティテクノロジーや暗号技術を用いて、リアルタイムでシステムの脆弱性を特定し、その修復に取り組みます。組織内の他のIT部門や運用部門と連携して、全体のセキュリティ戦略を形成して実行することが多いでしょう。このような取り組みにより、企業や組織は法的な遵守要件を満たし、顧客データや企業秘密を安全に保管することが可能です。セキュリティエンジニアは、日々進化するサイバーセキュリティの脅威に対応するため、常に最新の状況とリスクについて学び続ける必要があります。
セキュリティエンジニアの仕事内容は多岐に渡ります。ここでは、セキュリティエンジニアの代表的な仕事内容を4つ紹介するので、確認していきましょう。
セキュリティエンジニアの仕事の中で、企画と提案を行うことは多いです。この場合、初めに組織や企業の既存のインフラストラクチャとデータフローを詳細に分析することが必要です。この分析に基づき、セキュリティリスクや脆弱性を特定し、それに対する優先順位を決定します。
次に経営層や他のエンジニアと議論して、具体的なセキュリティ強化の手法や改善のための予算を提案することが多いでしょう。さらに、短期的な対応策と長期的な戦略の両方を練り、遵守すべき法的要件や業界標準に基づいた企画を作成していかなければなりません。
設計フェーズでは、具体的なセキュリティ対策を踏まえた設計図を作成します。
これには、ネットワークアーキテクチャ、データ暗号化手法、認証プロセス、アクセス制御などが含まれることが一般的です。
また、内部の社員だけでなく、外部のパートナーや顧客とのやり取りにおけるセキュリティも考慮されます。
異なるシステムやプラットフォーム間での互換性も考慮しつつ、全体のセキュリティが強化されるように計画していくことが重要です。
実装段階では、設計したセキュリティ対策が具体的に構築されます。
これには、コードの記述、セキュリティソフトウェアの導入、ハードウェアの設定、ネットワークの再構成などが含まれるのが一般的です。
実装が完了したら、網羅的なテストが行われます。
このテストでは、ペネトレーションテスト、コードレビュー、セキュリティ監査などが行われ、設計通りに機能するか、また未知の脆弱性がないかを厳密に検証することを目的としています。
実装後の継続的な運用・保守も、セキュリティエンジニアの担当する業務の一つとなります。
セキュリティエンジニアは、セキュリティインシデントが発生した場合の対処手順を事前に考え、不正アクセスやデータ侵害などの異常をリアルタイムでキャッチしていかなければなりません。
また、新しい脅威に対応するために、定期的なアップデートとパッチ適用、セキュリティポリシーの見直しをすることも大切です。
セキュリティエンジニアに興味がある人や目指したいと考えている人は、関連する資格の勉強をしておくと良いでしょう。
必須の資格などはありませんが、自身のレベルを証明してクライアントからの信頼を得るために有効となります。
セキュリティエンジニアにおすすめの資格は以下の3つです。
シスコ技術者認定は、ネットワークインフラに関する深い理解とスキルを証明する資格です。
特に、シスコのネットワーク機器を使用する企業や組織では、この資格が高く評価されます。
セキュリティに関しても、VPNの設定やファイアウォールの運用、侵入検知システムといった、高度なセキュリティソリューションの理解が求められるでしょう。
この資格は、セキュリティエンジニアがネットワーク全体のセキュリティを確保する上で、非常に役立つものとなっています。
情報セキュリティマネジメント試験は、情報セキュリティに関するマネジメントスキルと戦略的な視点を評価するものです。
リスクアセスメント、コンプライアンス、セキュリティポリシーの策定と運用、インシデントレスポンスのプロセスなど、多角的なセキュリティの管理手法に精通していることが求められます。
この資格で必要な知識を習得し、資格を保有することで、組織内でのセキュリティ戦略の策定をする際、やり取りがスムーズになるでしょう。
CompTIA Security+は、セキュリティの基礎から高度なテクニックまで幅広い知識とスキルを証明する国際的な資格です。
暗号化、認証、セキュリティプロトコル、ネットワークセキュリティなど、多くの主要なセキュリティ分野がカバーされています。
また、この資格は特定の製品やメーカーに依存しない内容であるため、多様な環境と技術に対応可能なスキルセットを持っていることが証明可能です。
特に初心者や中級者がセキュリティの広範な知識を習得するための良いスタート地点とも言えます。
セキュリティエンジニアには向き不向きがあります。
では実際にどんな人が向いているのか、いくつかポイントをみていきましょう。
セキュリティエンジニアには、日々変化するサイバー脅威や新しい技術トレンドに迅速に対応できる能力が求められます。
そのため、新しいプログラミング言語、セキュリティフレームワーク、ネットワークプロトコルなどに対する好奇心と自発的に調査を行う学習意欲が不可欠です。
情報セキュリティは企業にとって極めて重要な側面であり、エンジニアのミスや盲点が企業の財産や評価、さらには顧客のプライバシーに大きな影響を及ぼす可能性があります。
そのため、一つ一つのタスクに対する高い責任感が必要です。
経営層や他の部署とコミュニケーションをとり、全体のセキュリティポスチャを強化する役割も担うため、リーダーシップとチームワークも重要な要素となります。
セキュリティエンジニアは、複雑なシステムやデータ構造を解析し、その上でセキュリティの脆弱性やリスクを評価する必要があります。
そのため、高度な論理的思考能力と問題解決スキルが求められるでしょう。
具体的なセキュリティインシデントが発生した際には、限られた情報から迅速かつ正確に原因を特定し、適切な対応策を練る能力が不可欠です。
セキュリティエンジニアは、技術的な知識だけでなく、それをわかりやすく他のステークホルダーに説明できるコミュニケーション能力も必要です。
セキュリティポリシーの策定や変更、緊急時のインシデントレスポンスなどでは、技術部門だけでなく経営層や法務部門、外部のパートナーとも効果的にコミュニケーションを取る必要があります。
このように、セキュリティエンジニアに向いている人は、多角的なスキルと資質が求められるでしょう。
最新の技術を素早く学べる能力と、その技術を安全かつ効果的に適用する責任感と思考力、そして多様な人々と効果的にコミュニケーションを取る能力が不可欠です。
セキュリティエンジニアの年収は、日本人の平均年収と比べると高いと言えるでしょう。
日本人の平均年収が433万円に対し、セキュリティエンジニアの平均年収は、597万円となっています。
(参考:https://求人ボックス.com/)
(参考:https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/002.pdf)
また、年収は持っている資格、経験年数、責任の範囲、そして働く業界や地域によっても大きく変動するでしょう。
一方で、外資系企業に勤めたりマネジメント層に上がったりすると、さらに年収は高まることが多いです。
セキュリティエンジニアの年収は、近年上昇傾向にあるので、高年収を得たい人にとってもおすすめの職種かもしれません。
セキュリティエンジニアの将来性に関する展望は非常に明るいと言えるでしょう。近年、サイバーセキュリティの脅威が急速に進化しており、様々な新たな攻撃手法や戦略が出現しています。サイバー攻撃に対応するため、セキュリティの防御手段や戦略もその都度更新されるため、更なる高度化が必要です。
こういった背景から、セキュリティエンジニアの役割は今後さらに重要となり、活躍の場は広まっていくでしょう。また、近年のテクノロジーの発展とともに、IoTデバイスの普及が急速に進行しています。家電から自動車、産業機器に至るまで、さまざまなデバイスがインターネットに接続される時代となりました。
これに伴い、これらのデバイスを標的とした攻撃も増加しており、その対策には専門的な知識と技術が不可欠です。このような状況下において、企業はセキュリティエンジニアを重要なポジションと考え、採用や教育に投資する傾向にあると言えるでしょう。
セキュリティエンジニアとして、仕事をしていくためには、専門的なスキルと知識はもちろん、継続的な学習とスキルの更新が不可欠です。
絶えず新しい技術や脅威に適応しなければなりません。
その一方で、高い年収と将来性があると言えるでしょう。
また、責任が大きい職種であるため、多くの組織で重要な役割を担っています。
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