カスタマーエンジニア(CE)とは、顧客に提供したシステムの運用・保守を担当するエンジニアのことです。一般的にエンジニアというと開発をしている人がイメージされることが多いと思いますが、カスタマーエンジニアは開発・導入後のサポートがメインとなります。
対象範囲はハードウェアからソフトウェアまで幅広いため、きちんとした知識が求められる職種といえるでしょう。顧客にとっては、わからないことや不具合、新規機能の追加相談など、CEに頼ることが多くなるため、カスタマーエンジニアは自社への信頼度を背負っている重要な立場です。
カスタマーエンジニアの主な仕事は、以下の3つに分かれます。
それぞれどのような仕事内容なのか見ていきましょう。
昨今のIT社会では、IT機器を導入していない企業はどんどん少なくなっています。カスタマーエンジニアは、契約を結んだ顧客先に訪問し、必要なIT機器やシステムを導入します。導入するのは、プリンターやサーバーなどのハードウェアから、ソフトウェアまでさまざまです。顧客側で何を導入するか決まっていることもありますが、カスタマーエンジニアがニーズを聞いて、予算内で機器を選定することもあります。その際は、
「現場の環境によって必要な機器はなんなのか」
「スペックはどれくらい必要か」
「そもそも置ける場所があるか」
などを考えて、何を導入するか提案します。
機器を選定した後には、機器を設置する必要があります。設置もカスタマーエンジニアの仕事です。具体的には、ハードウェアであれば機器を設置して固定したり、配線を安全に引いたり、機器の初期設定を行ったりします。
また、事前に顧客の要望をヒアリングして、プリンターであれば使いやすい位置に、サーバーであれば安全な位置に配置する、など考える必要があります。そのため、インフラ周りの知識も求められるでしょう。
導入・設置をしたら終わりではなく、いよいよ運用が始まります。カスタマーエンジニアは導入後のサポートも担当します。顧客先の全員がIT機器に通じていることは少ないので、利用者に使い方を説明することもカスタマーエンジニアの仕事です。保守面では、急なトラブルやエラー、バグが発生したと連絡を受ければ、すぐに対応する必要があります。顧客先に常駐していることもあれば、都度訪問して対応することもあります。
また、定期的な点検もカスタマーエンジニアの仕事です。バージョンアップデートがあれば、他の機器との互換性などを踏まえた対応も必要になります。つまり、システムが導入されている限り、顧客と長い付き合いが形成されることになります。
カスタマーエンジニアと似ている職種に、システムエンジニア(SE)と呼ばれる職種が存在します。システムエンジニアの主な仕事は、開発フェーズの要件定義から、設計、構築、テストにあたります。つまり、一連の流れのうち、
前半の設計、開発に携わるのが「システムエンジニア」
後半の運用、保守に携わるのが「カスタマーエンジニア」
ということです。直接設計、開発をしたいと考えている方はシステムエンジニアを目指すのがいいでしょう。
ここまでカスタマーエンジニアの仕事内容について解説してきました。興味を抱いた方も、カスタマーエンジニアを目指すにあたり、
「実際のところ稼げるのか?」
「将来性はあるのか?」
という疑問をお持ちかもしれません。詳しく見ていきましょう。
カスタマーエンジニアの平均年収は、各種求人媒体のデータを参考にすると、およそ500万円になります。システムエンジニアとの間に大きな差はありません。また、国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」では、日本の平均年収は433万円なので、平均よりは高い傾向にあることがわかります。
参考:国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」
IT社会が進んで、企業がますます新しいITシステムや機械を導入していくことを考えると、カスタマーエンジニアの需要はあがっていくと考えられます。また、IT人材不足が深刻化していることを考えると、すべての企業でカスタマーエンジニアが足りている、いなくても大丈夫という状況になることは考えにくいため、重宝されるでしょう。
ただし、一つ懸念しておかなければならないのは、AI技術の進歩によって左右される可能性がある点です。自動で相談、点検などが行われるようになれば、IT知識のない人でも扱えるようになるかもしれません。しかし、当面の間は専門知識を持った「カスタマーエンジニア」という職業がなくなることはないでしょう。
実際にカスタマーエンジニアになるにはどのようなスキル・資格が求められるのか見ていきます。
顧客先で実際にやり取りをするカスタマーエンジニアには「コミュニケーション能力」は欠かせません。コミュニケーションに不備があると、顧客の要望も正確に聞き出すことができなかったり、トラブルを解決したいのに新たなトラブルが生じてしまう恐れがあります。また、良い関係を築くことで、自社製品の営業をできる機会が生まれることもあるでしょう。
当然ながらITに関する知識は必要です。自社システムへの理解はもちろんのこと、ITインフラ周りの知識や互換性などの情報を頭に入れておく必要があります。
IT業界の特徴として、変化が早いことが挙げられます。そのため、自分の知識ではこうすれば対応できたが、トラブルが解決できない、なんてことも起こり得るでしょう。
顧客側からすれば、トラブルが発生した場合は解決してもらえる前提で契約しているので、トラブル解決に手こずって時間がかかると困ってしまう可能性があります。そのような事態を避けるためにも、常にトレンドを把握し、知識をアップデートしていく姿勢が重要です。
顧客は自社製品だけでなく、さまざまなメーカーの製品を使用しているでしょう。そのため、どれかのバージョンアップデートが原因で、互換性がなくなり突然障害が発生するなんてこともあるでしょう。
また、物理的なトラブルやコミュニケーション面でのトラブルも考えられます。そのような際に、迅速に、真摯に対応できる能力があれば、信頼を失わず、逆にチャンスが生じるかもしれません。
今回はカスタマーエンジニアについて解説をしました。「エンジニア」という言葉を聞いて想像する職種とは少し異なることもあったかもしれません。
しかし、運用・保守というのはシステムの設計・開発と同等に重要なフェーズであり、そこを任せられているカスタマーエンジニアは大きな存在です。顧客との距離もとても近いので、やりがいを直に感じることができる職業といえるのではないでしょうか。
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