エンジニアの派遣とは、企業に就職して直接雇用されるのではなく派遣会社と契約を結び派遣先で就業する働き方です。
派遣エンジニアとなると基本的は時給で働くことになり、また期間の定めがあるのが一般的です。
これらの特徴は大企業の正社員と比較すると福利厚生が劣っていることが多く、雇用が安定していないため派遣のデメリットとされてきました。
しかし近年では大手企業でも45歳以上には早期退職を推奨するケースがあるなど、正社員であったとしても雇用が安定しているとはいえない社会になってきています。
このようなことを考慮すると派遣エンジニアなど派遣として働くことのデメリットは以前よりも少なくなっていると考えることができます。
またエンジニアの派遣には一般派遣と特定派遣があります。
登録派遣は派遣先ありきで派遣会社から報酬を受け取る働き方ですが、特定派遣の場合は社員として派遣会社に雇用されてから派遣先で就業します。
テクフリでフリーランス案件を探してみるではエンジニアの派遣とSESにはどのような違いがあるのでしょうか。
エンジニアの派遣とSESの違いの一つは、指揮命令権がどこにあるかです。
エンジニアの派遣の場合、指揮命令権は派遣先の担当者にあります。
エンジニアの派遣として働く場合、日々の業務の指導は派遣会社の担当者から行われるのではなく派遣先の担当者から指示を受けます。
その一方でSESの指揮命令権はクライアント企業ではなく、SESを提供している会社側にあります。
このように指揮命令権がSESを提供する企業側にあるのは、準委任契約も共通しています。
それ以外の責任についてはは派遣契約もSES契約も共通して決められた業務を遂行することが責任であり、請負契約のように成果物に責任を持つ必要はありません。
参考: 厚生労働省「労働者派遣事業・職業紹介事業等」
派遣とSESは現場に派遣されるという意味では近いといえる就業形態ですが、このような現場に派遣される働き方をする場合気をつけなければいけないことがあります。
それはブラックな環境の現場に派遣されることです。
ブラックな案件で就業することが決まってしまうと、それだけで心身が疲弊してエンジニアとしてのキャリア構築の弊害となる可能性があるからです。
実際にブラックな労働環境で長く働くことで心身を病んでしまうケースは珍しくありません。
では具体的にブラックな案件とはどのような案件なのか、事例と共に見ていきましょう。
給与が極端に低い案件で働いていると、生活に余裕がなくなりストレスも溜まりやすくなります。
また給与水準が極端に低い現場の場合、エンジニアを使い捨ての駒のように考えている可能性もあるため職場の空気も殺伐としていることが少なくありません。
実際に生活するだけで精一杯の給与だと蓄積されたストレスも解消されにくくなります。
たまの休みに旅行に行ける余裕があれば日々の業務が多少ハードでも乗り越えられるものです。
もちろん給与が高いことがホワイトな現場を必ずしも意味するわけではありません。
しかし提示される給与は現場がブラックかどうかを見極める一つの参考情報となります。
短納期や度重なる仕様変更、人手不足など開発の現場では様々な理由で、残業が発生するケースが少なくありません。
その残業もきちんと報酬が支払われるならいいですが、ブラックな現場だとサービス残業を強要される可能性が高くなります。
サービス残業が続くと心身にストレスがたまり疲労も蓄積されやすくなります。
また残業代がなければ生活費にも余裕が少なく、ストレス解消のためのレジャーにも手を出しづらくなってしまいます。
ブラックな労働環境ではそこで就業している人の心も歪みやすくパワハラや陰湿ないじめが横行している場合があります。
実際にハイスペックなエンジニアのみを優遇して、見せしめのように他の従業員には無給の休日出勤を強要している企業もあります。
客観的に見れば法令も遵守していない異常な労働環境ですが、長くそこで働いている人にとっては、それが当たり前と認識されている場合がほとんどです。
このような労働環境でも慣れてしまえば働くことはできますが、長期的には心身に不調を招く、またはエンジニア業務やIT業界そのものに嫌気がさしてしまうなど、将来が明るいとはいえません。
テクフリでフリーランス案件を探してみるこのようにエンジニア派遣ではブラックな労働環境に遭遇してしまうリスクマがありますが、ある程度は有用だと考えられる回避策があります。
国内の派遣会社数は世界一であり、様々な企業が存在しています。
また法令遵守を重視しているのか、それともひたすらに利益を重視しているのかによって派遣会社が保有する案件には違いが生じます。
たとえば法令遵守を徹底して、新規で派遣先企業と契約する度に入念なリーガルチェックを行う派遣会社であれば先に述べたような明らかな法令違反をする派遣先に派遣されるリスクは少なくなります。
その一方で派遣先のグレーな部分には目をつむり、利益を優先する派遣会社も存在します。
そういった派遣会社に所属するとブラックな派遣先を提示される可能性が高く、就業してから事前に聞いていた話とは違うことが発覚するなど派遣されるエンジニアにとってのリスクが高くなります。
そのため派遣として働く際は、就業先を選ぶ前にまずどの会社に所属して派遣されるのかを慎重に選ぶことが大切です。
派遣でブラックな労働環境を回避するためには、徹底したリサーチも有用です。
口コミサイトやSNSなど徹底して派遣先に関する情報はリサーチしておきましょう。
しかしネットの情報は情報が古い場合があり、実情とは異なっている場合があります。
そのため情報のすべてを鵜呑みにするべきではありませんが、参考情報として見ることに損はありません。
エンジニアの横のつながりがある場合は、直接リサーチすることも検討しましょう。
このようにリサーチを繰り返すと雰囲気が悪い職場の情報は漠然とでもわかるようになるものです。
ブラックな派遣先へ派遣されることは派遣エンジニアとして働く限り100%回避できるものではありませんが、ある程度は努力次第でブラックな派遣先への遭遇率を下げることができます。
離職率が高い、または離職率が高そうな派遣先を避けましょう。
そういった注意を向けることでブラックな現場を回避できる可能性が高くなります。
なぜならブラックな労働環境では離職率が高くなりやすいからです。
人がすぐに辞めている、頻繁に案件情報が出ている派遣先は離職率が高くブラックな労働環境である可能性があるので注意が必要です。
またこのようなブラックな派遣先の特徴から人がなかなか辞めずに離職率が低い派遣先はホワイトな現場である可能性が高いと考えることができます。
ブラックな案件や現場に派遣されてしまった、または既にブラックな労働環境で働いている場合、脱出する方法は二つあります。
ブラックな労働環境は派遣元に相談することで解消できるケースもゼロではありません。
もちろん改善要望がすぐに実現されることは稀ですが根気強く何度も派遣元の担当者に相談することで少しずつでも労働環境は改善することがあります。
いきなり退職するのではなく派遣元に今の現場で働くことに不満があり、他の派遣先に変えて欲しい旨を相談するのも一つの対処法です。
保有している案件数が多い、比較的大きな派遣会社ならこれまでの実績や信頼によっては他の派遣先を紹介してもらえる可能性があります。
しかし同じ派遣元から他の派遣先を紹介してもらう場合、ブラックな労働環境であったとしても派遣期間を満了して辞めるなど円満な終了を迎えることが大切です。
心身に不調をきたした場合や身の危険を感じた場合など、ブラックな労働環境からの脱出に緊急性がある場合は迷わず退職しましょう。
退職の引き止めなど理不尽な交渉が入った場合は労働基準監督署への相談など公的機関を利用することも有用です。
次の就業先を決めてから退職したいと考えるのは一般的ですが、身の危険を感じた場合はまず退職してアルバイトで生計を立てながら慎重に転職活動をする、という選択肢もあります。
ここまで紹介してきたように、派遣でエンジニアとして就業する場合、ブラックな現場のリスクをゼロにすることはできません。
しかしそのリスクを減らすための対策はほんの少しの注意を向けることで可能となります。
エンジニアとして派遣での就業を目指す際は派遣先だけでなく、派遣元の会社選びから慎重に見極めることをおすすめします。
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